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SIG-TL第5回研究会「『個別最適な学び』と授業研究の可能性 〜海外の事例から〜」開催報告
日 時:2024年10月4日(金)18時〜19時40分
形 式:オンライン開催
参加者:32名
話題提供:坂本將暢先生(名古屋大学准教授/SIG-TLコアメンバー)
2024年度の第1回目となる第5回研究会は,「『個別最適な学び』と授業研究の可能性 〜海外の事例から〜」というテーマで,SIG-TLコアメンバーであり,名古屋大学デジタル人文社会科学研究推進センターの坂本將暢先生のご講演と,坂本先生からの提示された3つの質問についてのグループディスカッション及び全体交流を行いました。
坂本先生は2023年4月から2024年3月までの1年間にわたってカナダのオンタリオ工科大学にて研究を行なわれました。本研究会では,坂本先生がカナダで行った教師による生成AI利用に関する2つの研究事例を紹介していただきました。
まず本題に入る前に,今回紹介していただく取り組みの舞台となるカナダのトロントについて,そしてトロント市教育委員会とピール地区教育委員会のICT導入状況について,坂本先生が現地で撮影された写真とともに詳細に説明してくださいました。
本題の教師による生成AI利用の研究事例として,最初に生成AIによる指導案作成の研究事例が紹介されました。小学校2年生算数の単元「かくれた数」の指導案をChatGPTで作らせる実験で,日本の指導案に近いものを作らせるためには,段階的なプロンプトでの指示が必要であることが指摘されました。また,この実験で作成された各段階の指導案に対する日本とカナダの教師の評価結果をもとに,指導案の詳細さの境界線について説明いただきました。次に,授業における生成AIの利用事例として,カナダの小学校で行われたGrade5の学習者29名に対するChatGPTを用いた実践について紹介していただきました。
最後に,カナダでの研究期間を通して,坂本先生が感じられた(あるいは経験された)日本とカナダの違いをふまえながら,日本の個別最適な学びの可能性と課題について語ってくださいました。その課題をふまえて,坂本先生からは大変刺激的な質問が参加者に示されました。
坂本先生から示された3つの質問について,3〜4人のグループになってオンラインディスカッションを行い,そこで話し合った事項をスプレッドシートにまとめ,全体で交流しました。報告者もディスカッションに参加いたしましたが,坂本先生の質問は1つ1つがとても考えないと議論ができないものばかりで,報告者の参加したグループでは3つの質問全てを話し合うことはできませんでした。全体グループでは他のグループが入力したスプレッドシートを見て,他のグループも全ての質問を議論することができていなかったので,少しホッとしました。全体交流では,勤務している学校種ごとに個別最適な学びや生成AIの利用についての向き合い方に違いがあり,興味深い議論が展開されました。
文責 今井亜湖(岐阜大学)
