SIG-CL
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【開催報告】2025年秋季全国大会 SIGセッション(SIG-CL)
ウインクあいち(名古屋)にて開催された日本教育工学会秋季全国大会 企画セッションにおいて,「教員研修において学びの理論への理解を促す支援とは」というテーマで,SIG-CLセッションを開催しました.
・日時:2025年09月28日(日)10:00〜11:20
・会場:ウインクあいち(名古屋)2階・大ホール
・登壇者:河﨑美保(静岡大学),益川弘如(青山学院大学),望月俊男(早稲田大学),脇本健弘(横浜国立大学)
・テーマ:教員研修において学びの理論への理解を促す支援とは
・参加者数:約360名
本セッションは,「授業づくりと授業研究に活かす 学習科学入門(https://www.amazon.co.jp/dp/4762833029/)」の出版イベントを兼ねて開催されました.
学びの理論と実践を探究する学習科学において,学習環境の設計における教師との協働は欠かせません.そこで本セッションでは,教員研修に焦点を当て理論との関わりを考えます.教員研修は,変化し続ける社会に対応して求められる教員の資質向上のための重要な学習機会となっています.特に学習者中心の授業を創造するには,学習者に関する理論への理解を深めることが必要だと考えられます.教員自身が学習理論を参照し,実践を省察し向上させるためには,教員研修を通してどのような支援を行えばよいでしょうか.教員の養成や研修にたずさわる登壇者より話題提供し,次の議論をしました.
河﨑美保氏からは,教師の専門的成長に関する研究では,教育上の問題を解決するために意思決定や行動をする際,関連する理論や研究を考慮に入れるエビデンスに基づいた推論が重要であるとされる一方,研究に基づく知識の活用のされにくさが指摘されていること,具体と知識をつなぐ学びを教職大学院や研修で充実させていく必要があるとの課題が示されました.
益川弘如氏からは,小中学校の自治体レベルでの校内研修と授業づくりの事例を元に,子供たちのデータがある場合は,その分析活動と理論を結ぶ支援について行うことや,知識構成型ジグソー法などの授業体験を通した振り返りと理論を結ぶ支援を行うことについて話題提供がなされました.
望月俊男氏からは,高等学校における学校単位の校内研修の事例を元に,背景にある学習理論を知ってもらう必要性と,実践者がイニシアティブを持ち,意味の構築が起こるように研究者が支援することが重要であることについて話題提供がなされました.
脇本健弘氏からは,行政研修の事例(マネジメント)を元に,設計の重要性や,授業・学習に関する研修はマネジメントより難しいことなどについて話題提供がなされました.
フロアとの質疑応答では,教員研修において学びの理論を伝える意義や,研究者と教員のギャップを埋めるための手立て,理論と実践を往還させるための方法などについて議論がなされました.
本SIGでは今後も協調学習,学習科学に関して,広く皆さまと議論する場を設けていく予定です.
・SIG-CL 情報共有ページ(https://sites.google.com/view/JSETsig06/)
・SIG-CL イベント(https://www.jset.gr.jp/sig-news-event/sig/sig-cl/?type=EVENT)
文責:北澤武(青山学院大学)