SIG-TL

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参加者からの質問への回答(2025秋季SIG-TLセッション)

※ 2025年度秋季全国大会SIG-TLセッションで話題提供くださった学校法人海陽学園海陽中等教育学校の先生方に寄せられた質問で、セッション内でご紹介できなかったものについて、後日お答えいただきましたのでご報告いたします。

 前期3年生(中3生)で取り組むジュニア論集の目的は、「調べましょう」なので、指示を頻繁に出し、時間を取れば特に問題なく進めていけます。

後期2年生(高2年)で取り組む論集になると、かなりの困難が伴います。そのため月に1回途中経過を出させて、アドバイザーが面談をし、進捗状況を確認しています。

 その際に、注意していることは、

① タイトルは仮にでも決めておくこと。問が明確になっているかの確認。

② 概要を適宜更新すること。内容の深まりの確認。

 「問」が立てられない生徒に対しては、インタヴュー形式で生徒に質問を投げかけます。「部活なんだっけ」など。そうした問答を繰り返しながら、当該生徒の関心事を洗い出していく作業が必要になります。その上、その間のやり取りもメモできない生徒には教員がワードで打ってあげて、毎回それを記録に残していっています。こうした生徒には、かかりきりになることが必要で、そこが一番大変なところです。

 「問」はあるけれども、それを論じる道筋が見えない生徒は、支援を滞ると調べて終わってしまうことになります。例えば、「自分は英語ができなくなったのはいつごろからか」という問が立ったのですが、それをどうやって論じるかが分からず、前期1年生から「学力推調査」を解かせ、何年生のどの単元から分からなくなってきたということを明らかにしてはどうかと投げかけたものの、こちらが問題を準備しないとやれず、結果的に3年生の問題のここから分からないというところまで来たが、それで終わってしまった。「問を育てる」作業で躓く段階の生徒もいます。

(2)(1)のようなケースについて、教師間でどのように情報共有されているのか。
 毎週一回学年会を開いており、そこで情報共有をされる場合もありますが、他学年の教員で、その学年の生徒のアドバイザーをしている場合には情報はなかなか共有されていません。各アドバイザーが自分でその学年の動き(スケジュール)やその生徒の状況を拾いにいかなければならないことも多々あります。

 1学年の生徒が100名足らずなので、学年の教員の数も限られており、教員の業務が学年の先生方だけで完結していません。したがって、業務が多元的に重なりあっていることが多く、情報共有は課題です。

 3年生『ジュニア論集』、5年生『論集』共に印刷代は30万円。経費としてはそれだけです。

教員負担は、「業務時間内で取り組む」という指示が出ていますので、人件費は別に発生していません。かなりのご負担を強いている状況です。各アドバイザーがどこまで版下原稿の形式的な質を高めているかどうかで、最終的な編集作業の負担も変化しますので、学年の編集統括の負担感は各アドバイザーの取組しだいです。アドバイザーの質の均一化も課題となっています。

執筆に関わるハウススタッフによる支援は、ほとんどありません。論文が完成するまでの進捗管理(「いついつまでに何をしなければならない」という声掛け、特に遅れている生徒への念押しなど)をお願いしています。ただ人によっては、個人的に面倒を見てくれる場合もあります。前期生(中学生)の場合、企業のSDG‘sの調べ学習の場合には支援をお願い、積極的に協力をしてくれています。

以上