2024/11/07
SIG-MC 2024年度第1回勉強会「マイクロクレデンシャルの技術的・制度的課題とシステム開発」開催報告
SIG-MC 2024年度第1回勉強会では、マイクロクレデンシャルの技術的・制度的課題に焦点を当て、OECDの報告書や関連研究のレビューから、マイクロクレデンシャルの制度的課題について整理した上で、技術的課題に対応するシステム開発を進めているサービスの事例を紹介し、マイクロクレデンシャルの可能性と課題について議論を行いました。
1. 開催概要
セミナー名:マイクロクレデンシャルの技術的・制度的課題とシステム開発
開催日:2024年10月25日(金)
開催時間:17:30-19:00
開催方法:オンライン(Zoomミーティング)
参加者数:18名
2. プログラム
17:30-17:40 開会挨拶と開催趣旨(JSET SIG-MC代表 重田勝介)
17:40-18:00 OECD「高等教育マイクロクレデンシャル」解説(中央大学 澁川幸加先生)
18:00-18:20 「オープンバッジ発行プラットフォーム・オープンバッジファクトリー」の紹介(インフォザイン 斎田健太郎様)
18:20-19:00 質疑応答・ディスカッション
3. 内容
・澁川先生によるOECD報告書の解説
澁川先生より、OECD編著「高等教育マイクロクレデンシャル」に含まれる報告書の内容から、マイクロクレデンシャルの各国の導入状況や政策的な背景、具体的な利用例、日本の高等教育に示唆を与える点について紹介いただきました。国内外の事例から、マイクロクレデンシャルが高等教育機関のカリキュラムを「因数分解」する、すなわち学習内容を社会で求められるスキルなど多様な視点から分析し直す機会を与える点について紹介がありました。また、大学通信教育とマイクロクレデンシャルとは高い親和性がある一方、対象とする学習者の違いから、通信教育の果たしてきた社会的包摂の機能を失わないように留意する必要を指摘されました。
・斎田様による「オープンバッジファクトリー」の紹介
斎田様より、オープンバッジの発行と管理を支援するウェブサービス「オープンバッジファクトリー」の概要と特徴について紹介いただきました。オープンバッジファクトリーの機能であるアライメント(得られた知識やスキルを外部のコンピテンシーフレームワークと紐付ける機能)、エンドースメント(得られた知識やスキルを証明する第三者の裏書きを記録する機能)、エビデンス(知識やスキルの証明となる活動等を追加する機能)について紹介いただきました。加えて既存のLMS等との連携方法や、複数のバッジを取得する学習経路をデザインするラーニングパスウェイの機能も紹介いただき、オープンバッジが高等教育と生涯教育を結ぶ可能性や、具体的な活用事例を想像することもできました。
4. 質疑応答・ディスカッション
講演後のディスカッションでは、参加者からの質問や新たな情報提供もあり、講演をもとにした議論が行われました。マイクロクレデンシャルが教育機関以外でも発行可能であること、履修プログラムを迅速に立ち上げる利点の一方で質保証の方法が課題であること、初等中等教育での利用事例や他のウェブサービスとの関係性など、マイクロクレデンシャルの可能性と課題に関しての活発な意見交換がなされました。
5. 今後の予定
次回以降の勉強会では、国内外におけるマイクロクレデンシャルの具体的な利用事例など、異なる関連テーマについて取り扱う予定です。ご参加いただいた講師のお二方、また参加者の方々に深く御礼申し上げます。