【特集記事】見えやすく、参加しやすい国際交流を目指して

副会長 岩﨑千晶(関西大学)

 副会長(企画・国際担当)の岩﨑千晶です。今回のニューズレターでは、国際委員会の活動について報告いたします。私は国際委員会委員長を担当していた頃から、海外学会との連携や国際交流の推進に取り組んでまいりましたが、副会長に就任してから「国際委員会が何をしているのかわかりにくい」というお声を複数の会員からいただきました。活動を発信してきたつもりでしたが、十分に伝わっていなかったことを真摯に受け止め、本稿では国際委員会のこれまでの歩みと現在の取り組みを改めてお伝えいたします。

●アメリカ、韓国、中国の学協会との連携と国際交流の促進

 本学会は現在、AECT(Association for Educational Communications and Technology)、KSET(Korean Society for Educational Technology)、CAET(China Association for Educational Technology)の3学協会と協定を締結し、継続的な国際交流を行っています。以下、それぞれの連携について紹介いたします。

 AECTとの連携は、本学会の国際活動の出発点ともいえる関係です。アメリカで学位を取得された鈴木克明会長(当時)がAECTで活躍されたことをきっかけに、歴代の会長・副会長がAECTに参加し、交流を積み重ねてきました。その後、正式な協定の締結に至り、AECTの大会においてJSETセッションを設けるなど、両学会の関係を継続的に深めてまいりました。AECTの年次大会は毎年秋に開催されており、今年は11月3日から7日にかけてアメリカ・シカゴにて開催されます。本学会からも毎年会員が参加しています。さらに今後は、AECTとのオンラインイベントの開催も計画しており、現地に赴かずとも海外の研究者と交流できる機会を会員の皆様にご提供できるよう準備を進めています。詳細が決まり次第、改めてご案内いたします。

 KSETとの連携も長年にわたり継続されています。2026年3月に開催された春大会では韓国から14件の発表がありました。また5月初旬に開催されたKSETの大会には日本から24名が参加・発表を行い、会長も基調講演を行われました。両学会のメンバーが互いの大会に参加し合うことで、研究交流の輪が着実に広がっています。

 CAETとの連携もまた、長い歴史を持っています。詳細については近藤ほか(2015)が日本教育工学会論文誌に執筆された論文(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjet/39/2/39_39084/_article/-char/ja/)にまとめられていますので、ぜひご一読ください。日中間では「日中フォーラム」を2年に1回、日本と中国が交互に開催する形で続けてきましたが、コロナ禍によって一時中断を余儀なくされました。その後、2025年12月7日に成城大学にて特別研究会を開催し、日本の教育工学研究の動向を動画として中国側に届けるなど、交流の再構築を着実に進めてきました。

●JSET全国大会における国際交流の促進

 続いて、JSETの大会における国際交流促進のためのこれまでとこれからの取り組みについてご紹介します。海外学会の会長が本学会の大会に来日してくださる機会が生まれるなかで、正式にお話しいただく場がなかったことを課題と感じ、設けたのが「プレジデントトーク」です。AECT・KSET・CAETの会長に登壇いただき、各国の研究・教育の動向についてお話しいただく場として長年実施してきました。当初は英語のみでの実施だったため参加者が限られていましたが、通訳を導入したところ参加者が大幅に増加しました。言語の壁が参加のハードルとして想像以上に大きいことを、改めて実感した経験でした。近年はAI翻訳・通訳ツールの急速な進歩により、こうした障壁は以前と比べて着実に低くなってきています。こうしたツールも積極的に活用しながら、より多くの会員の皆様が国際交流に参加しやすい環境を整えていきたいと考えています。

外国語能力の向上に向けた取り組みも継続して行っています。昨年は「Pathways to International Publication in the Social Sciences: A Guide for Early Career and Non-Native English Researchers」の著者であるInsung Jung先生をお招きしたシンポジウムを開催し、国際発表の準備から海外研究者との共同研究へと発展させるプロセスについてご講演いただきました。日本人研究者も複数名登壇し、実践に即した国際発表についてお話しいただきました。同時に、「英語でのプレゼンテーション入門ワークショップ」を開催し、約100名の会員の皆様にご参加いただきました。こうした取り組みを通じて、国際発表への関心と意欲が着実に高まっていることを実感しています。今後も会員の皆様の挑戦を後押しする企画を継続してまいります。

 これからの取り組みとして、今年の秋大会では、国際委員による企画セッション「海外の国際会議の紹介(仮)」を新たに設けます。実際に国際会議に参加した委員が、現地での経験や学びを直接お伝えすることで、海外発表への具体的なイメージを持っていただき、一歩踏み出すきっかけになればと考えています。

海外の研究者との交流は、自身の研究視野を広げるだけでなく、共同研究や国際比較研究といった新たな可能性にもつながります。まずは一度、現地の学会に足を運び、海外の研究者と直接交流する体験をしていただくことが、継続的な国際交流への大切な第一歩になると考えています。今年、ぜひその一歩を踏み出してみませんか。

 最後に、本学会の国際的な貢献は研究交流にとどまりません。かつて会長を務められた水越敏行先生は、JICAの専門家としてケニアやスリランカにおける教育支援に尽力されました。今後も、海外から日本の教育実践を学びたい、日本の研究者と連携したいというニーズに応える機会が生まれることも考えられます。そうした場においても、会員の皆様のご参加・ご協力をいただければ大変心強く思います。

 国際委員会は、委員長・望月俊男先生、副委員長・松田岳士先生のもと、会員の皆様にとってより身近で実践的な国際交流の機会を提供できるよう取り組んでまいります。国際交流の推進は、委員会だけで成し遂げられるものではなく、会員の皆様とともに歩んでいくものだと考えています。「こんな取り組みがあったらいいな」「海外の学会に興味はあるけれど、どうすればいいかわからない」など、どんな小さなことでも構いません。大会や研究会でお会いした際には、ぜひお気軽にお声がけください。皆様一人ひとりの声と行動が、本学会の国際交流を着実に前へ進める力になると信じています。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。