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【特集記事】SIG-MCについて
SIG-MC代表 重田勝介(北海道大学)
マイクロクレデンシャルSIG(SIG-MC)は、2024年度に新たなSIGとして、学校教育や高等教育、生涯学習にわたり身につけた特定の知識やスキルを証明する「マイクロクレデンシャル」に関わる研究開発を行うために設立されました。本SIGでは、マイクロクレデンシャルの認知と普及、マイクロクレデンシャル利用による学習意欲の向上、マイクロクレデンシャルを介した学習評価やシステム開発に関する研究を推進するための、情報共有やセミナーの開催を計画しています。
近年、大学等の発行する学位等より粒度の小さな知識やスキルを習得したことを証明し、教育機関において身につける多様なコンピテンシーを裏付ける取組が増えてきました。このような履修証明をデジタル形式で発行するものとして「オープンバッジ」が有名ですが、マイクロクレデンシャルはさらに包括的に、学習者が得たコンピテンシーを専門家育成や就業機会と接続する、デジタルの履修証明です。例えば、マイクロクレデンシャルをCASE (Competency and Academic Standards Exchange)と呼ばれる教育分野における学習目標やスキルセットを標準化し、共有するためのフレームワークと組み合わせて、教育内容の透明性を高めながら、異なる教育機関やプログラム間での学習成果を比較することで、教育プログラムの設計や評価を共通化することが可能になります。また、専門家育成や就業機会の確保のため、職種ごとに求められるコンピテンシーをEU全体で定義するESCO(Europe Standard Classification of Occupation)のような枠組みも整理されつつあり、社会で活躍する人材を輩出する高等教育機関の対応も求められます。
しかしながら、このような形でマイクロクレデンシャルを教育機関で利用するためには、教育機関の既存のカリキュラムやシラバスをCASEに対応させたり、マイクロクレデンシャルを介した真正性のある学習評価を普及するなど、その手法に関する先進的な研究が必要です。本SIGの活動によって、国内外においてもまだ途上であるマイクロクレデンシャルに関わる研究開発を促進したいと考えています。
本SIGの活動に興味をお持ちの方々におかれましては、ぜひSIGメーリングリスト(会員専用ページから「SIG参加申請」)にご登録頂き、本SIGの関わるイベントや勉強会等にご参加いただければ幸いです。