新年のご挨拶
教育工学研究の社会的プレゼンスを高めよう

日本教育工学会 会長 山西潤一(富山大学)

2015年2月

 2015 年がスタートしました.日本教育工学会が創立されてから 30 年,30 周年の節目に入っています.学会も今や 2800 名を超える会員で,全国大会では毎 年 500 件近い研究が発表されるまでに成長してきています.基礎研究であれ,実践研究であれ,教育工学研究は学校教育から高等教育,企業内教育,生涯学 習と教育の営みが抱える課題を研究の対象としてきました.この 30 年,時代が求める能力の育成をそれぞれの立場で支援し,実践知や理論知として共有し研 究成果を発信してきています.

 情報化社会の成熟度が増す中,国の政策としても,第2期教育振興基本計画に基づき知識基盤社会を生きる力の育成に向け,さまざまな教育改革が進められてきています.教育内 容・方法の充実や教員の資質能力向上,学習の質保証,学習成果の評価・活用,新たな価値を創造する人材育成,学習を通じたコミュニティ形成など,学校教育から生涯学習に至るまで,教育工学研究の出 番が益々求められてきています.出番が増えれば増えるだけ,その社会的プレゼンスも大きくなってきました.教育工学研究の成果を論文として社会に発信するのは勿論のこと,2009 年から実施されてき ている高等教育の FD 研修会は,大学からも委託を受けるまでになり大学の授業改善に大きな役割を果たしてきています.また,教育工学の知見を学校現場に還元していくとともに,日々の実践を研究とし て高め,その成果を実践研究として共有化していくための実践研究活性化セミナーも,日々教育実践に情熱を傾ける教員にとって役立っています.現代的教育課題に日々取り組むための SIG 活動,グローバ ル人材の育成に向けた学会の国際連携など,30 周年を契機に立ち上げた新たな取り組みも,学会の社会的プレゼンスを高める活動につながります.

 現代的教育課題と次代に向けた人材育成に向け,教育イノベーションをリードする学会として,その役割が益々期待されるなか,本年も,会員の皆様とともに充実した活動を展開していきたく思います. 皆様のご支援,ご協力をよろしくお願い申し上げます.