会長・副会長挨拶
創立20周年記念の全国大会を迎えて
日本教育工学会 第4代会長 清水 康敬
2004年9月23日
日本教育工学会は昭和59年(1984年)に創立されてから順調に発展してきましたが,今年の第20回全国大会は創立20周年を記念する大会となりました.そこで,大会企画委員会と理事会では記念大会に相応しい企画を種々しております.
まず基調講演には,遠山敦子前文部科学大臣にお願いすることができました.テーマは「これからの学校と大学」としていますが,「確かな学力と教育の情報化」と「大学教員に求められること」の2点についてご講演いただく予定です.2005年度までの目標に沿って進められている教育の情報化と学力向上との関係をお話いただき,国立大学が法人化したり審議会等で教員の教育力が重要となってきていることから,教員に求められることについてご講演をお願いしています.
次に,特別講演として米国ワシントン州のワシントン中学校のマリリン・パイパー(Marilyn Piper)先生をお呼びしています.昨年10月にワシントン中学校を訪問したときに学校における実践をご説明いただきましたが,内容と基本的な考え方に感銘を受けました.帰国しましてISTE(International Society for Technology in Education)の関係書類を見ていましたらパイパー先生はISTEの理事をされておられることがわかりました.そこで,今回の記念全国大会にお呼びすることに致しました.先生にはThinking forward: Theory Application of Information and Communication Literacy in Schoolsをテーマにご講演をいただきますが,それを受けて,「教員のICT活用指導力の目標と研修のあり方~米国のISTEの事例を参考にして」をテーマにパネル討論を行う計画です.
また,韓国の韓国教育工学会と本学会と連携した課題研究05 韓国共同セッション: e-Learning: Policies, practices and researchを企画しました.このセッションは5つの課題研究と並行して行われますので,参加者数が気になるところです.せっかく韓国からこの大会のためにこられますので,このセッション終了後に参加者との懇親会を計画しています.是非隣国である韓国教育工学会員との交流を深めていただきたいと思います.
今大会は発表件数の点からも20周年記念大会に相応しく合計で477件という過去最大の発表件数となりました.発表を分類しますと,基調講演と特別講演の他,パネル討論で4件,シンポジウムで4件の発表があり,9つの課題研究として51件,English Session6件となっています.また,一般研究として410件もの発表があります.学会の会期を3日間にしましたが,16会場が並行して発表されます.会員1人が一つの発表ができる一般研究の発表が増加していることは,アクティブな会員が増えていることを意味しております.当日の活発な議論が期待されます.
ただ,実は発表申し込みの段階では私は心配していました.20周年を記念して学会の会員管理システムを新たに開発しましたが,発表申し込みをインターネットで行うことにし,題名,発表者(所属)の入力を発表者にお願いしましたので,インターネットに慣れない会員が諦めてしまうのではないかと心配しました.しかし,幸いなことに昨年に比べて約10%の増加となりました.この結果は,システム開発をした者としてホットした次第です.本学会の会員はコンピュータやインターネットに強いと思われる結果ですので,本学会の情報化をさらに進める上で重要な意味をもっていると考えています.
最後に,創立20周年を記念する今大会の準備段階から種々検討していただきました大会企画委員会(園屋高志委員長)と大会実行委員会(赤堀侃司委員長)の委員の皆様に感謝します.また,プログラム編成等について献身的に作業をしてくださいました室田真男委員と学会事務局に厚く御礼申し上げます.