会長・副会長挨拶
第18回全国大会の開催に際して
日本教育工学会 第4代会長 清水 康敬
2002年11月2日
今年の第18回全国大会の総発表数が400件(シンポジウム17件,課題研究39件,一般研究331件,English Sessionが10件,自主シンポ3件)となりました.このようにたくさんの研究成果が全国大会で発表されることを心から喜んでおります.昨年までは2日間でしたが,今回は3日間の開催となりました.
国立大学の独立法人化に関係して,大学の評価が注目されています.この評価は学部・研究科の評価,学科・専攻の評価,そして大学教員の評価へとなります.このことから,大学教員による学会発表と論文投稿への意欲が高まっています.研究業績を論文件数で評価することは必ずしも妥当ではありませんが,やはりレフェリー付の学術論文として掲載されることが重要です.そこで,この全国大会における研究発表をまとめて本学会の論文誌に是稿していただきたいと思っております.本学会では編集委員会で検討していただき,「システム開発論文」や「実践研究論文」も今後積極的に採択していく方針です(JET No.117号参照).
次に,大学教員に求められる能力として「教育力」が重要となっており,大学審議会の答申に基づいて大学設置基準における教員の資格(第4章)が書き替えられました.従来は研究業績に重点が置かれていた教員の資格が,「大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有する」という観点からも評価されることになります.本学会に所属する会員は教育工学に関わっていますので,教育力と観点では一歩先んじています.そこで,さらに一歩進め,各大学における教育刷新の推進役になることを期待しています.
今年の科学研究費補助金では「高等科学教育」という時限付分科細目が新設されました(JET No.118号参照)ので,「高等教育」を学問として研究して,各大学の教育に反映していただければよいと考えられます.また,今年度から既にスタートした特定領域研究「新世紀型理数科系教育の展開研究(理数科系教育)」(JET No.116号参照)への積極的な参加もお願いします.そして,それらの研究成果を本学会の全国大会や研究会で発表していただき,さらにまとめて論文誌に投稿されることを期待しています.
本学会は,昭和59年(1984年11月1日)に創立されましたので,2年後には創立20周年を迎えます.20周年は1つのマイルドストーンに過ぎませんが,記念行事について検討を始める時期となりました.また,今年度中に次期役員選挙が行なわれますが,学会定款によってかなり理事が再任されないことになります.そのため,新しい理事には本当に積極的に学会運営を支えてくれる方々が選出されることを望んでいます.創立20周年の記念行事を新しい役員体制で行うことを考えますと,役員選挙の重要さを痛感しています.
以上のように,新しい時代の教育に向けて多くの取り組みがなされております中で,本学会と本学会所属会員に寄せられている期待は大きいと思います.このような大切な時期ですので,会員各位におかれましては,今後も本学会活動に積極的な参加と支援をお願いします.
最後に今回の全国大会を開催するに当たり,長岡技術科学大学の服部賢学長(実行委員長)と植野真臣助教授をはじめとする実行委員の方々,大会企画委員会の吉田貞介委員長,室田真男委員(大会事務局)をはじめとする委員各位,並びに本学会の事務局(JAPET内)のサポートに感謝します.