重点活動領域委員会と企画戦略国際委員会が合同で取り組んだ「会員サービス向上と国際化に向けた意識調査」
日本教育工学会 副会長 美馬のゆり(公立はこだて未来大学)
日本教育工学会ニューズレター NO.255より(2022年08月)
みなさまこんにちは.戦略・国際担当副会長の美馬のゆりです.ニューズレターの巻頭挨拶のリレーが始まり,2巡目となりました.私が担当するのは,新たに設置された重点活動領域委員会と企画戦略国際委員会です. 重点活動領域委員会は,学会が時限付きで重点的に進める領域の活動で,「情報教育部会」,「学習環境部会」,「学習評価部会」3つの部会を発足しました.デジタル・トランスフォーメーション(DX)の急激な進展により,Society5.0時代に活躍する高度情報活用人材の育成に加えて,新たな学習環境や評価のあり方が求められています.このような時代において,教育工学研究の果たす役割は,ますます大きくなることが想定されます.本学会では,学会として重点的に取り組んでいる領域を社会に示し,学会としてのプレゼンスを高め,社会に貢献することを目指しています.現在は各部会で調査研究をすすめ,全国大会等で報告をしています.
企画戦略国際委員会は,AECT(Association for Educational Communications and Technology),CAET(China Association for Educational Technology),KSET(Korea Society of Educational Technology)を中心に海外の教育工学領域の学会と交流・連携強化を進めています.AECTでは毎年JSET枠においてJSET委員が報告を行っています.2022年度は企画戦略国際委員が日本の学習環境に関する報告を予定しています.
またこれら2つの委員会が合同で取り組んでいる活動として「日本教育工学会会員サービス向上と国際化に向けた意識調査」があります.学会活動全体を強化,活性化するには,学会運営のデータに基づく判断の仕組み作り,会員と学会における双方向の情報チャンネルを整備し,多様な収入源を確保するなど,学会員向けのサービスの質および量の向上が必要です.そこで,2020年11月に提出された将来構想WGの答申を踏まえ,会員の声を活かした具体的な活動を提案するために会員/非会員向けてアンケート調査を実施しました.以下にその概略を報告します.
実施期間は2022年03月18日~06月30日で,回答者数は会員対象アンケートで783名,非会員対象では83名でした.本学会の会員数が3000名強であるため,かなりの会員の方に回答いただけたことに対し,心より感謝申し上げます.会員対象アンケートの結果を見ると,回答者属性は40~50代が約6割で,職業属性としては大学教員からの回答が最も多くありました.また入会3年未満の会員,10年以上の会員からの回答がそれぞれ約3分の1ずつでした.
「学会の諸活動への認知度」に関しては,学会誌,学会ホームページ,全国大会,ニュースレターで7割以上が「利用している」と回答し,COVID-19の影響やSIG活動を再検討する期間もあったため,合宿,SIG活動で2割以上が「知らない」と回答がありました.またこれらの項目に関する「満足度」では,全項目で否定的回答(やや不満,不満)は1割未満であり,総じて満足度は高いことがわかりました.「学会参加のメリット」としては,「教育工学分野における質の高い情報の入手」「教育工学分野におけるトレンドの把握」「研究発表の場」など情報収集や研究発表の場としてのメリットを感じている傾向がありました.詳細については今後,学会ホームページ等で報告を致します.また,本アンケートの回答者には抽選でAmazonギフト券が配られています.当選者の方おめでとうございます.
これらの調査結果を踏まえ,今後も会員のニーズに応えていくことはもちろん,世界の中でも先進的で挑戦的な研究ができ,社会に貢献していけるよう,日本教育工学会の5つの特徴,Interdisciplinary (学際性のある),Diverse(多様な研究・多様な研究者が存在する),Open(開かれた),Flexible (柔軟性のある),Accountable(内外に情報を発信する)を生かした活動を実施してまいります.学会は会員のみなさまによって成り立っています.直前に迫っている秋大会,そして年間を通じた活動への積極的なご参加をお待ちしています.