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【特集記事】学会の状況について
日本教育工学会 第10代会長 山内 祐平(東京大学)
第10代会長に選出いただき、早いもので1年が経過いたしました。現在、会員数は4,000名の大台を目前に控えており、本学会は着実な発展を続けております。日頃より学会運営にご協力いただいている会員の皆様に、心より感謝申し上げます。
4,000名という規模は、国内の教育系学術団体として最大級であるだけでなく、国際的にも米国のAECT(教育通信工学会)や英国のALT(学習テクノロジー学会)に比肩する存在となったことを意味します。本学会の最大の特徴は、他国の学会と比較しても際立つ「多様性」にあります。初等中等教育から高等教育、インフォーマルラーニングまでを網羅し、教育学・工学・心理学といった多岐にわたる専門知が結集しています。研究者、実践者、そして企業の皆様がチームを組んで課題に挑む姿は、今や本学会の日常的な風景であり、このダイバーシティこそが現在の活発な活動を支える原動力となっています。
こうした会員の皆様の力を結集し、現代の社会課題の解決へと導くため、昨年度より「教育とAI」「学びの保障」という2つの重点領域を設定いたしました。先日の春季全国大会より本格的な活動報告がスタートし、それぞれのセッションには多くの方々にお集まりいただきました。
生成AIの急速な普及は、社会に劇的な変革をもたらしています。先行する米国では、AIによる業務代替が大卒採用や雇用構造にまで影響を及ぼし始めており、日本においてもAI活用を前提とした「求められる人材像」の変化は避けられません。
このような激動の時代を子どもたちが生き抜くためには、学校教育もまた進化を遂げなければなりません。AIを単なる脅威として遠ざけるのではなく、人間の思考や創造性を拡張する「パートナー」として使いこなす、AI共生時代の教育の高度化が不可欠です。個別最適な学びや探究的な学習において、AIが果たす役割は今後ますます重要になるでしょう。
同時に、その高度な学びは、決して一部の層に限定されるものであってはなりません。不登校の子どもたち、障碍を抱える子どもたち、外国籍の子どもたち、あるいは離島などの地理的制約がある環境にいる子どもたち。あらゆる学習者に高度な学習機会を保障し、困難を抱える学習者が未来に希望を持てる支援体制を構築することが、我々の責務です。
これら重点領域の活動には、会員の皆様の積極的な参画が欠かせません。今後の大会でも継続的にセッションを設けてまいりますので、ぜひ足をお運びいただき、共に教育の未来を議論してまいりましょう。