ワークショップ

 ワークショップは大会企画委員会が中心となって開催します.このワークショップは,参加者が設定した教育工学に関連するテーマについてインフォーマルに語りあう場です.実践は進んでいるものの研究として認識されていない問題や,新しい情報技術の教育利用などの萌芽的な研究について議論を行っていただくことを考えております.
 ワークショップは主催者主導で進行していただきます.また,予稿の用意は必要ありません.なおプログラム集には,ワークショップテーマ名・主催者/共催者名・概要が掲載されます. ワークショップ参加者は各ワークショップ会場の受付で記名をお願いします.ワークショップのみに参加者される方は大会参加費は無料です.
 なお,このワークショップを機に主催者と参加者との交流が促進されるよう,参加者名簿を各ワークショップ主催者にお渡しすることにしていますので,それをご承諾の上でご参加ください.

WS01: 情報教育(SIG)

9月21日(月)18:00〜20:00 会場:A102
加納 寛子(山形大学)
布施 泉(北海道大学), 野崎 浩成, 梅田 恭子, 江島 徹郎(愛知教育大学)

 UNESCOが情報リテラシーについて学ぶべき指針を明示している。しかしながら、概念的提示に留まり具体的な指導と評価については触れていない、そのため、UNESCOによる情報リテラシーの指針をベースとし、これからの我が国の情報教育のあり方について議論する。

WS02: 教育工学のサステナビリティを考える

9月21日(月)18:00〜20:00 会場:A202
中山 実(東京工業大学), 鈴木 克明(熊本大学), 向後 千春(早稲田大学), 植野 真臣(電気通信大学)

 日本に教育工学が導入されて50年余り、日本教育工学会が設立されて30年になる。科研費の分科細目に「教育工学」が設置されて20年余り、この分野に多くの研究者が集まり、学会の会員数は微増ながら増加傾向にあり、2800人を超えている。日本国内の大学に特定の学科や専攻を持たず、境界領域として成長してきた分野の一つである。

 しかし、その一方で複合領域ならではの分野内容の不明確さ、直接的な人材育成機関を持たず、国際的な学術ネットワークからも孤立している現状は直視しなければならない。

 人口構成と相似する研究者の年代分布、大学改革や科研費などの研究助成制度の見直しなどを考えると、「教育工学」の今後の展開は楽観的ではない。

 この観点で、本ワークショップでは以下について検討する。

(1) 研究分野「教育工学」における研究組織、若手育成などの現状と問題点

(2) 研究分野としての再生の必要性

(3) 再生のための方策:ミッション再定義、戦略的な研究分野、人材育成

(4) 研究分野間、国際間での協力・協調関係の構築

#本課題は科研費(15K12405)の補助を受けている。

WS03: 地域・学習者に応じたICT利用の防災学習を考える

9月21日(月)18:00〜20:00 会場:A301
永井 正洋(首都大学東京)
池尻 良平(東京大学), 倉田 和己(名古屋大学)
畠山 久(首都大学東京/東京工業大学), 室田 真男(東京工業大学)

 東日本大震災以降、日本国内では防災への関心が高まっている。日本で発生しうる災害の種類は、地震災害に限らず台風や豪雨、火山災害など多岐にわたる。もちろん、これらの災害は地域によってその危険性や影響度合いが異なる。また、子どもからお年寄りまでそれぞれの年齢・立場によって、災害の際の対応や求められる役割といった災害への備えに違いがある。このように、防災には一言では表せない多様性が存在するため、ICTを活用しそれぞれの環境に合わせた取り組みが効果的と考えられる。

 本ワークショップでは、地域や学習者など特性の異なるフィールドにおいて実施されるICTを活用した取り組みについて事例紹介を行い、参加者のみなさまと共有する場としたい。

WS04: 「映像の世紀」から「魔法の世紀」へ〜授業づくりはどう変わるのか?

9月21日(月)18:00〜20:00 会場:A303
藤川 大祐(千葉大学), 阿部 学(敬愛大学)
内田 明(佐賀市立若楠小学校), 箕輪 貴(NHK出版)

 メディアアーティストの落合陽一は、20世紀は映画やテレビなどを中心とした「映像の世紀」であり、21世紀はテクノロジーの進歩によってリアリティとバーチャルが融合する「魔法の世紀」だという。学校現場においても、ICTの普及など環境の変化によって、単に映像教材を視聴するような授業だけでなく、あたかもその場で「魔法」が起るような授業を創造することが不可能ではなくなっている。こうした「映像の世紀」から「魔法の世紀」への移り変わりの中で、授業づくりはどのように変わりうるのか。「魔法の世紀」を彷彿とさせる実践の紹介、メディア制作者からの話題提供などを行いながら、参加のみなさまと「魔法の世紀」の授業づくりのあり方について議論を深めていきたい。

WS05: いじめ予防を志向する授業づくりについて考える

9月21日(月)18:00〜20:00 会場:A401
根本 淳子(愛媛大学), 三津村 正和, 清水 強志(創価大学)

 いじめは、共同性意識が欠落した学級風土の中で起こりやすい。そうした風土の生成を抑止するには、児童一人ひとりの自己肯定感及び自己有用感、さらには学級への所属感を高めながら、より良い生活・人間関係・学級を築こうとする主体的な態度を育むことが重要である。従来のパラダイムでは、学級経営があってはじめて授業が成り立つものと考える傾向にあるが、本ワークショップでは、いじめ予防を志向する学級経営また生徒指導の視点を授業活動の中にどのように組み入れることができるのかについて考えていく。参加者には、児童間の肯定的な相互交流を促しながら共同性意識の醸成を目指す協同学習を始めとする共同的な学びの手法を本ワークショップの中で疑似体験していただき、いじめ予防を志向する授業の展開案について、参加者とともに検討する場としたい。

WS06: 「キャリア教育」の今を知る!ある日突然「キャリア教育」を担当することになった教員のためのワークショップ

9月21日(月)18:00〜20:00 会場:A403
荒木 淳子(産業能率大学), 高橋 薫(早稲田大学)
舘野 泰一(立教大学), 松下 慶太(実践女子大学), 伊達 洋駆(ビジネスリサーチラボ)

 高等教育において「キャリア教育」が行われるようになって久しい。今では初年次から「キャリア教育」に取り組む大学も少なくない。しかし実際には、外部講師によるもの以外は「キャリア」が専門ではない専任教員がキャリア教育を担うことも多い。初年次教育、プロジェクト型学習(PBL)、インターンシップ等、学生のキャリアを意識した教育の範囲が広がり続ける中で、キャリア教育が網羅する範囲も広がっている。

 そこでワークショップでは、キャリア教育を担当することになった教員のために、大学での「キャリア教育」の今を伝えるワークショップを行いたい。キャリア教育とは何であり、今、大学ではキャリア教育をどのように実施し、何を課題と感じているのか。

 ワークショップでは、キャリア教育の現状を俯瞰した上で、実践者からの報告をもとに参加者間でそれぞれが担当するキャリア教育のカリキュラムを振り返り、改善や今後のキャリア教育のあり方について話し合う。キャリア教育を担当する教員だけでなく、キャリア研究を専門とする教員・院生など幅広い参加者による交流を図りたい。