ワークショップ

 ワークショップは大会企画委員会が中心となって開催します.このワークショップは,参加者が設定した教育工学に関連するテーマについてインフォーマルに語りあう場です.実践は進んでいるものの研究として認識されていない問題や,新しい情報技術の教育利用などの萌芽的な研究について議論を行っていただくことを考えております.
 ワークショップは主催者主導で進行していただきます.また,予稿の用意は必要ありません.なおプログラム集には,ワークショップテーマ名・主催者/共催者名・概要が掲載されます. ワークショップ参加者は各ワークショップ会場の受付で記名をお願いします.ワークショップのみに参加者される方は大会参加費は無料です.
 なお,このワークショップを機に主催者と参加者との交流が促進されるよう,参加者名簿を各ワークショップ主催者にお渡しすることにしていますので,それをご承諾の上でご参加ください.

WS01: 教材開発におけるクリエイティビティとは何か?―学習効果の周辺を考える

9月16日(金)16:00〜18:00 会場:A312教室
藤川 大祐(千葉大学), 阿部 学(敬愛大学), すがやみつる(京都精華大学マンガ学部)

 「パソコンの父」とも呼ばれるアラン・ケイは,「未来を予測する最善の方法は,それをつくり出してしてしまうことである」と言った。彼ほどの創造性はないかもしれないが,テクノロジーの発展により,私たちも自らの手で自らが望むような教材をつくり出せる時代になってきた。では,効果がすでに認められた教材を借りるだけでなく,自ら教材をつくり出す際には,どのようなノウハウが必要になるだろうか。本ワークショップでは,教材を活用した後の学習効果の分析ではなく,教材を「つくる過程」のノウハウについて,クリエイティビティという言葉を手がかりに考えてみたい。様々なデジタル教材の紹介,学習マンガの制作者が考える方法論などについて話題提供を行った後,参加者とともに議論を深めていきたい。これまで斬新な教材をいくつもつくってきたという方,教材づくりの新たな方法論を探っているという方,ご参加をお待ちしております。

WS02: 教育工学の展開を考える ―次世代の研究者育成―

9月16日(金)16:00〜18:00 会場:A102教室
中山 実(東京工業大学), 鈴木 克明(熊本大学)
向後 千春(早稲田大学), 植野 真臣(電気通信大学)

 2015年に開催されたWS「教育工学のサステナビリティを考える」では,現状の確認や取り組むべき課題について意見が出された。

 その中で,教育・学習に対する社会的なニーズに対応した分野の見直しや,人材育成の必要性が指摘された。これらに対応した案も検討されているが,その実現や運用には課題も多い。選書など,学会が既に所有している資産の活用も検討に値する。

 本ワークショップでは,教育工学に関わる多くの分野や個人のニーズを確認すると共に,そのサステナビリティの実現を検討する。特に,次世代の人材育成について議論したい。

 #本課題はJSPS科研費(JP15K12405)の補助を受けている。

WS03: 「効果的な」保育でのメディア活用を考える

9月16日(金)16:00〜18:00 会場:B206教室
堀田 博史(園田学園女子大学)
松山 由美子(四天王寺大学短期大学部)
佐藤 朝美(愛知淑徳大学), 中村 恵(畿央大学), 坂口 真(日本放送協会)

 近年,園の事務作業のコンピュータ化,保育でのタブレット端末活用など,幼児教育でのメディア活用場面が広がりつつある。一方で,その効果が可視化されていないことも課題にある。

 このような現状を踏まえ,今回は「NHKの幼稚園・保育所向け番組」×「タブレット端末」を組み合わせた模擬保育をもとに,保育でのタブレット端末活用の可能性と効果を探る。

 幼児教育とメディアを対象とした研究を推進している研究者・現場の教員・院生など幅広い参加者による交流の場となることを願っている。

WS04: 学修者の多様性とアクティブラーニングについて考える

9月16日(金)16:00〜18:00 会場:A103教室
藤井 厚紀, 石橋 慶一, 上村 英男(福岡工業大学短期大学部)

 高等教育におけるアクティブラーニングを考える上で,大学・短大のユニバーサル化に伴う学修者の学力・汎用能力等の多様性の増大を考慮した学修環境デザインの必要性が高まりつつあります。本ワークショップでは大学・短大でのアクティブラーニングの成功事例はもとより,うまくいかなかった事例についても積極的に共有を図りながら,多様な学修者で構成されるクラスルームにおけるアクティブラーニング推進の可能性について議論をすすめていきたいと思います。

 大学・短大関係者に限らず多くの方々のご参加をお待ちしています。

WS05: 卒前・卒後を通じた医療教育に対する教育工学の関わり方を考える

9月16日(金)16:00〜18:00 会場:A203教室
淺田 義和(自治医科大学)
紙谷 あゆ美(済生会横浜市東部病院), 八木 街子(自治医科大学)
三好 雅之(鳥取大学), 廣江 貴則(京都大学)

 医師・看護師等の医療職を育成するにあたっては,大学や専門学校(卒前)における教育と病院に勤務してから(卒後)の研修を含めた生涯学習とが求められている。医療においては知識・技能・態度の3要素すべてが業務において求められており,非常に高度な能力が必要とされる。

 一方,現行の国家試験は知識試験を主体としたものになっており,国家試験の合格者全員が即戦力として業務に携わることができるとは言いがたい。また,医療において教育工学の視点から教育を検討できる人材は少なく,Journal of Nursing Educationにおいてもその必要性をうたった投稿がなされている。

 本ワークショップでは,卒前・卒後それぞれの場面について,医療者側からの教育に関する現状や課題を提示し,全体でのディスカッションを通じて教育工学の専門家がどのように医療教育分野に関わることができるかを検討することをテーマとする。

WS06: 防災・減災学習におけるICT活用の可能性を考える

9月16日(金)16:00〜18:00 会場:B306教室
畠山 久(首都大学東京/東京工業大学)
倉田 和己(名古屋大学), 光原 弘幸(徳島大学)
永井 正洋(首都大学東京), 室田 真男(東京工業大学)

 自然災害が多く発生する日本では,毎年のように多くの災害が発生し,私たちの生活にも影響を与えている。この環境の中で生活するために,知識を学び,経験することで災害に備える「防災・減災学習」は教育分野における一つの取組と言える。しかし,このほかにも様々な分野において防災・減災のための取組が進められている。防災・減災を学ぶ上で,教育に限らない広範な分野の観点や知見を考慮する必要があると考える。

 本ワークショップでは,地震・豪雨といった近年の自然災害の事例における各分野の話題提供を踏まえ,教育工学的視座から防災・減災学習における情報通信技術の活用を参加者のみなさまと検討する場としたい。

WS07: 「教育情報化時代のラーニング・アナリティクス」論文化へのヒントを探る

9月16日(金)16:00〜18:00 会場:B316教室
日本教育工学会論文誌 特集号編集委員会(渡辺雄貴(東京工業大学), 松田岳士(首都大学東京)

 ICTによって蓄積されたデータを分析し可視化することで,個々の学習者のモニタリングや学習プロセスを把握するだけでなく,それらをもとにした多角的な学習支援や教育改善を可能とする「ラーニング・アナリティクス」研究が注目されている。本ワークショップは,特集号論文誌への投稿に関心を持つ参加者を対象に,特集号の概要,分析,事例紹介方法,査読方針などに関する情報を提供するとともに,参加者間の議論やコンサルテーションを企画している。なお,来年2月投稿締め切りとなる特集号では,若手研究者や大学院生の投稿も積極的に受け付けている。