日本教育工学会 副会長 美馬のゆり(公立はこだて未来大学)
みなさま,こんにちは.戦略・国際担当副会長の美馬のゆりです.私は重点活動領域委員会と国際委員会を担当しています.
重点活動領域委員会は,堀田会長のリーダーシップのもと,学会が時限付きで重点的に進める領域の活動を担うべく,2021年に発足しました.2022年末に公開されたChatGPTなどの生成AIは,教育現場や社会に多大な影響を及ぼしており,そのインパクトは計り知れません.
ChatGPTやその他の生成AIツールを利用したことのある方々にとって,この技術の能力と限界についてどうお考えでしょうか.また,AIツールについて学生や生徒にどのように伝えるべきでしょうか.インターネットが普及し始めたころを振り返り,学生や生徒にどのような準備をさせておきたかったでしょうか.21世紀型スキルやデジタルリテラシーの概念は,AIの登場によりどのように変化するでしょうか.さらに,AIの倫理について授業に取り入れる機会はあるでしょうか.
このようなAI時代において,私たちはどのような人材を育成すべきでしょうか.また,その育成を支えるための新たな学習環境や評価方法の開発が求められています.教育工学研究の重要性は,これからますます高まると考えられます.
本学会では,学会として重点的に取り組む領域を社会に示し,学会のプレゼンスを高めるとともに,社会貢献を目指しています.この目的を達成するため,2021年に「情報教育部会」「学習環境部会」「学習評価部会」の3つの部会を立ち上げ,2023年には新たに「先端科学技術とELSI部会」を加え,現在は4つの部会で活動を行っています.各部会は学会ウェブサイトを通じて最新のニュースやイベント情報を発信しており,春季全国大会や秋季全国大会での活動報告を通じて,その成果を広く共有しています.特にELSI部会は,倫理的,法的,社会的(Ethical, Legal, and Social Issues: ELSI)の視点から先端科学技術の教育利用を検討しています.ウェブサイトでは,コラムやシンポジウムの報告,アンケート調査など,多様な情報を提供しています.
重点領域
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学習環境部会
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学習評価部会
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先端科学技術とELSI部会
ー情報教育部会(準備中)
国際委員会では,教育工学に関連する国際会議の情報提供や,米国,韓国,中国などの教育工学会との継続的な交流活動を行っています.本学会の活動を国際学会で発表し,全国大会で交流するプログラムを提供するなど,国際的なプレゼンスを強化しています.特に2022年末に公開されたChatGPTなどの生成AIが教育現場や社会に与える影響は世界共通の課題であり,このようなテーマについて国を超えて議論していくことが重要です.円安の影響で日本から海外の学会に参加することが難しい状況になってきていますが,逆に海外から日本への参加はしやすくなっています.この機会を活かし,海外の研究者が参加したいと思えるような魅力的な学会を目指していきたいと考えています.今後は積極的に本学会の大会に参加いただく機会を増やし,国際的な交流をさらに深化させていく予定です.
国際会議情報
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日本教育工学会 副会長・事務局長 室田真男(東京工業大学)
一般に、デジタル化やペーパーレス化が話題になり始めてからずいぶん時間が経ちましたが、本学会では、会員の皆さまへ提供するサービスのデジタル化・ペーパーレス化を急速に進めております。
論文誌等に関しては、冊子体の会員への配布は継続しますが、過去の論文も含め、J-Stageに公開しております、2024年5月31日現在、日本教育工学論文誌(2004年〜)2,721本、日本教育工学雑誌(1976〜2003年)1,395本、Educational Technology Research(1977〜2021年)481本、Information and Technology in Educational and Learning(ITEL)(2021〜)61本のほぼすべての論文がJ-Stageに公開されてしております。
研究会の報告集については、2021年よりJ-Stageに掲載し始め、冊子体の発行を中止いたしました。
ニューズレターは、2023年4月からHTMLメールによる案内とWeb版のみとしています。発行間隔を月1回とし、会員の皆さまに情報をタイムリーに届けております。
上記のデジタル化・ペーパーレス化が進む中で、検討すべき事案が浮上してきました。会員サービスの差別化についてです。日本教育工学会の会員には、正会員、准会員、学生会員、維持会員、名誉会員の5種類の種別があります。これまで維持会員を除く個人を対象とした会員の差別化は、主に、論文誌を送付するか否かでなされていました。しかし、論文のオンライン公開が進んだ現在では、その差別化要因がほぼなくなってしまいました。
ちなみに、2024年5月18日時における、各会員数は、正会員 2,589名、准会員 633名、学生会員 465名、維持会員 22機関、名誉会員 19名です。
そこで、総務委員会を中心にこの問題に対する対策を検討し、2024年5月18日に開催された理事会において、会員サービスを次の様に変更することが了承されました。なお、本学会の会計年度は1月から12月ですので、下記変更は2025年1月から適用する予定です。
● 機関誌(論文誌と増刊号)へ投稿できるのは、正会員、学生会員、名誉会員とする。(従来、准会員は、投稿可であったが投稿不可とする)
投稿論文に対して学会が担う負荷やコストは高いため、投稿することをお考えの准会員には正会員になっていただきたいというのが趣旨です。准会員の皆さまにはサービスダウンの変更となってしまいますが、ご理解頂ければ幸いです。なお、学生会員には投稿を奨励したいと考えていますので、投稿可のまま変更しておりません。
デジタル化・ペーパーレス化はDX化の入口にすぎません。総務委員会としては、学会の真のDX化に向けて今後も改革を進めていく予定です。今後も、会員の皆さまの積極的な参画・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
追伸
以前のバージョンでは、論文誌の紙発行がなくなる旨の記載がありましたが、紙発行は継続していきます。お詫びして訂正いたします。