Activity of Special Interest Group(SIG)
SIG-SE
Special Education
障害のある子どもにとってICT端末の普及とアプリの拡大は、教師による教育の手段としてだけでなく、彼ら自身の苦手を補い得意を引き出すツール、そして自立と社会参加のために主体的に使えるツールとなるよう支援していくことが望まれます。
また、特別支援教育には、特別支援学校だけではなく、小・中学校の特別支援学級や通級指導教室、そして特別な支援の必要な子が推定8.8%程度存在するという通常学級も含みます。したがって発達段階や学校種、障害種を限定することなく、様々なシーンで障害児・者に関わる実践者・研究者には、学習や生活に必要な力の向上だけでなくウェルビーイングを志向したICT活用のあり方の探究が求められます。
そのためにも、特別支援教育と教育工学との融合分野における研究と実践の推進を支える学術的プラットフォームが必要と考え、設立に至りました。
このような分野ですでに研究している方だけでなく、これから研究を始めようと思っている方や、興味関心のある方のご参加を期待しています。
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- Our Missions and Goals
特別⽀援教育分野とICTは親和性が⾼く、タブレット端末の普及やGIGAスクール構想より以前から活⽤されてきた。特に重度障害児やコミュニケーションの難しい⾃閉スペクトラム症(ASD)児の教育においてスイッチ教材やコミュニケーションの補助・代替⼿段(AAC)として⽤いられてきた歴史がある。今日では情報技術の⽬覚ましい進歩とともに、プログラミング的思考が今とこれからを⽣きる⼦どもたちに必要な情報活⽤能⼒として位置付けられたり、⽣成 AI の活⽤などが議論されたりしているが、これは障害児にとっても必要な資質能⼒である。障害児にとって ICT 端末の普及とアプリの拡⼤は、教師による教育の⼿段としてだけでなく、彼ら⾃⾝の苦⼿を補い得意を引き出すツール、そして⾃⽴と社会参加のために主体的に使えるツールとなるよう⽀援していくことが望まれる。また、特別⽀援教育とは特別⽀援学校に限るものではなく、⼩・中学校の特別⽀援学級や通級指導教室、そして⽀援の必要な⼦が推定 8.8%程度存在する通常学級も含むものである。したがって発達段階や学校種、障害種を限定することなく、様々なシーンで障害児・者に関わる実践者・研究者が、時に障害児・者本⼈とその家族とも協働し、学習や⽣活の向上だけでなく、彼らのウェルビーイングを志向した ICT 活⽤のあり⽅の探究が求められる。そのためにも、特別⽀援教育と教育⼯学との融合分野における研究と実践の推進を⽀える学術的プラットフォームが必要である。このような背景から、⽇本教育⼯学会の特別⽀援教育分野の SIG として「SIG-SE」の設立に⾄った。
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- Major Activities and Achievements
(1)毎⽉の定例研究会の開催(オンライン/対⾯)
SIG-SEメンバーによる毎⽉⼀回程度の研究会・勉強会を⾏う。
(2)ワーキンググループ(WG)における研究推進
今⽇的な推進すべき重点課題について、2年間でWGとしてメンバーを募り研究と発信を⾏う。具体的にはWGメンバーが若⼿教員の教育実践並びに若⼿研究者の研究活動をエンパワメントし、研究成果として形あるものにつながり、教育現場や⼦どもの発達に寄与できるよう、定期的・継続的なディスカッションを⾏う。
今期は「障害のある子のウェルビーイング向上を目指したICT等の活用」「肢体不自由児・病弱児のwantsをかなえる新しいICT活用」「1人1台端末時代の知的障害教育における情報モラル教育」「読み書きに困難さある子どもへの支援技術と合理的配慮」「子どもたちの可能性を広げる企業との連携」「ICT作品コンテスト」の WG を運営する。
(3)企業との共同研究
特別⽀援教育関連アプリやハード、システムを開発する企業との共同による、特別⽀援教育に資する ICT ツールの開発を⾏う。
(4)成果公開
⽇本教育⼯学会(JSET)のほか、SIG-SEのクレジットを明⽰して⽇本教育⼯学協会(JAET)、⽇本特殊教育学会、⽇本LD学会などにてSIG-SEの各WGの成果として報告を⾏うとともに、『⽇本教育⼯学会誌』にSIGとしての成果を投稿する。また⼀般公開のオンライン報告会を⾏う。取り組みの集⼤成として、書籍『障害のある⼦どものウェルビーイングを⽀える教育⼯学的アプローチの授業づくり』(仮称)を刊⾏する。