No.297
No.297
日本教育工学会ニューズレター 2026年07月10日発行

【特集記事】会員交流担当として
副会長
西森 年寿(大阪大学)

 会員交流担当副会長の西森年寿です。今回は大会・研究会運営の現場から、近年の「会員急増」という現象とその対応についてご報告申し上げます。

 過去の理事会資料より総会員数(準会員や学生会員なども含めるものです)の遷移を追うと、2023年7月は3561 名、2024年7月で3752 名となっており、おそらく今後4000名を超えていくと予想されます。現在学会HPには、学会創設1984年から2021年までの会員数の推移が掲示されていますが、その伸びを基準とすれば、ここ数年の状況は「急増」といって差し支えないと思われます。新しく加入していただいたみなさま、そして、ここまで魅力ある学会を一緒に形成してくださった旧来の会員のみなさまに感謝申し上げます。

 学会員の急増を反映して、大会、研究会ともに発表件数・参加者数が増加しております。直近の2026年7月の研究会は65件の発表が予定されています。数年前は研究会では平均的に3会場、多くて4会場という見込みで準備していましたが、現在では5会場が必要な状況が続いています。また、今年9月の秋季大会には、580件の発表申し込みがあったとの、驚くべき知らせがありました。昨年の秋季大会の発表数は415件で、実はこれも当時の予想を上回る規模でした。もちろん、春季大会の発表数も増加の一途です。

 大会も研究会も、会場の選定は実施の2年程度前、場合によってはそれよりも前から検討しています。その際、規模感としては「現在と同等だけれど少し余裕があるとよい」程度を思い浮かべて選定するのが習慣でした。日程・予算は限られますし、また、どの会場候補にも先約があります。さらに参加者のみなさまのアクセスも考えれば、残された選択肢はそう多くありません。事実上、一択というケースもありましたし、様々な条件はよいもののサイズの問題だけで断念せざるを得ない会場候補もありました。原稿をチェックしたり、プログラムを編成したり、当日の会場を運営したり、それら担当の委員をお願いする人数も、基本的には前年を踏襲してきました。

 一方で、発表件数は、大会は3か月ほど前に、研究会は1月前に確定します。そこで想定を上回る件数の申し込みが判明する都度、担当委員会の先生方には、多岐にわたる調整に奔走し、迅速かつ柔軟に対応していただきました。大会そして研究会委員会の先生方に改めて感謝申し上げます。もちろん、そうした対応にも物理的な限界がありますので、実際には混み合う会場で参加者のみなさまにご不便・ご迷惑をおかけしてしまったことも多々あったと思います。お詫び申し上げます。

 発表数の増加は、とても喜ばしいものです。しかし、プログラム編成という面では悩ましいものです。同時発表数が多くなることは、参加者にとって聞きたい発表が聞けない感覚を高めるため、回避したいものです。とはいえ、参加者の交通手段や、休日のイベントという点からも、開始時間を早めたり、終了時間を遅くしたりするのは適切ではないとも考えます。また、発表資格等に何らかの制限をかけるという方策も、研究会・大会の本質を損なうもののように感じます。会場選びの面でも制約が高まります。

 今後の対策としては、担当の先生方との議論が必要ですが、発表時間の短縮化や、一部企画のオンライン開催への移行といった抜本的な見直しが鍵になるのではないかと考えています。これは単なる効率化にとどまらず、会員間の意見交換をより活性化させ、交流の質を高める新たな契機となるはずです。

 そもそもの会員急増の原因を考えると、その背景に、生成AIブームがあることは明らかだと思います。AIの性能の向上や日常への浸透は、教育工学会が研究対象とする、教育や学習活動、そして知識生産そのものの在り方を根底から揺さぶっています。それは危機であると同時に期待であり、その熱気が会員の急増に結びついているのでしょう。

 このような急激な変革の時期に、大会・研究会、そしてSIGを通して、さらに多くの会員の皆様と経験・知識、意見の交流を行えることは、未来への希望であると考えております。どうぞ学会活動への活発なご参画に、引き続きご協力お願い申し上げます。
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【特集記事】SIGーSEについて
 特別支援教育SIG(SIG-SE)は、特別支援教育と教育工学との融合領域における研究と実践の推進を目的として活動している研究グループです。障害のある子どもたちの学びや生活、ウェルビーイングの向上を支えるICT活用について、研究者・実践者・企業関係者が協働しながら研究開発や情報発信を行っています。
 近年、1人1台端末環境の整備や生成AIの発展により、特別支援教育におけるICT活用の可能性は大きく広がっています。SIG-SEでは、障害のある子どもたちの学びや自立、社会参加を支えるICT活用について、多様な教育現場や障害種を対象に研究と実践を進めています。その一環として、学会企画やシンポジウムの開催、情報交換、共同研究の推進などを行うとともに、テーマ別のワーキンググループ(WG)による研究活動も進めています。現在は、次の2つのWGを中心に活動を展開しています。「タブレット端末活用・学習用アプリの開発に向けた研究」では、主に知的障害や発達障害のある子どもを対象とした学習アプリの開発に向けて、どのような機能や学習デザインが求められるのかについて実証的な研究を進め、企業との共同開発も視野に入れています。「肢体不自由児・病弱児のエージェンシーを拓くICT ―学び・表現・参加の交差点―」では、肢体不自由児や病弱児にとってのICTを、単なる支援機器ではなく、自ら学び、表現し、社会へ参加するためのエージェンシーを支える手段として捉え、その可能性について研究を行っています。
 また、2026年度は8月と12月に研究会を開催予定であり、ICT活用や支援技術、教育実践研究に関する最新の知見を共有するとともに、参加者同士の交流を図る機会として位置付けています。さらに、企業や教育現場との連携を通して、障害のある子どもたちの学びや生活を支えるICTツールや教材の開発・評価にも取り組んでいます。研究成果は、日本教育工学会をはじめ、日本教育工学協会、日本特殊教育学会、日本LD学会などで発信するとともに、オンラインでの情報発信や出版活動を通して広く共有しています。また、SIG-SEメンバーによる実践や研究成果をまとめた書籍『特別支援教育におけるウェルビーイングを高める教育実践研究のススメ』(仮題)を企画しており、2026年9月の刊行を予定しています。
 特別支援教育におけるICT活用や教育工学に関心をお持ちの方、これから研究を始めたい方、教育実践の改善に取り組みたい方など、多くの皆様のご参加をお待ちしております。SIG-SEが、研究と実践をつなぎ、障害のある子どもたちの学びと生活をより豊かにするための交流の場となれば幸いです。
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2026年秋季全国大会(第48回)
大会期間:2026年9月26日(土)~27日(日)
会場:札幌市教育文化会館
 (〒060-0001北海道札幌市中央区北1条西13丁目)
参加費納入:5月26日(火)〜9月27日(日)
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研究会(教師教育・授業設計/一般)
開催日時:2026年10月17日(土)
会場  :岡山大学津島キャンパス(岡山市)
開催担当:笠井 俊信
発表申込締切:2026年8月17日(月)
原稿提出締切:2026年9月17日(木)
参加登録締切:2026年10月13日(火)
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行事予定
研究会

開催日
2026年07月11日
開催場所
神戸大学鶴甲第一キャンパス(神戸市)
全国大会

開催日
2026年09月26日〜2026年09月27日
開催場所
札幌市教育文化会館
研究会

開催日
2026年10月17日
開催場所
岡山大学津島キャンパス(岡山市)
研究会

開催日
2026年12月19日
開催場所
オンライン(Zoom)
全国大会

開催日
2027年03月06日〜2027年03月07日
開催場所
関西学院大学(西宮上ケ原キャンパス)
開催報告
SIG:SIG-ID 第39回定例ゼミ
2026/06/22
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