【特集記事】研究会担当として
研究会委員会委員長
江木 啓訓(電気通信大学)
2025年度より研究会委員会委員長を担当しています。今年度は、京都外国語大学(5月)、北海道大学(7月)、オンライン(10月)、および中央大学(12月)の4回の研究会を開催しています。コロナ禍を経て以降、研究会における年間の発表件数は毎年増加を続けています。これもひとえに、日本教育工学会および研究会への高いご期待によるものと考えております。
現在、12月研究会の準備を進めています。今年度はのべ198件の研究発表、参加者は500名弱程度を見込んでおります。いずれの研究会でも多様な観点からの発表と、活発な議論が行われており、会員・非会員の皆様の成果を共有する機会となりました。引き続き、オンライン参加のみによる研究会も開催しております。2026年度の研究会についても開催予定を掲載しておりますので、ぜひご発表を計画いただけますと幸いです。
一点、ご参加の方にお願いがあります。研究会の開催にあたって座長の担当や原稿の修正を依頼することがあります。実り多い研究交流の場となるよう努めますので、運営へのご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2026年度研究会開催予定
【特集記事】「先端科学技術とELSI」について
稲葉 利江子(東京科学大学)
2023年7月より2年間、日本教育工学会が重点に取り組む領域を社会に示し、学術的・社会的貢献を果たすことを目的とした「重点活動領域」において、先端科学技術の教育利用を倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal, and Social Issues: ELSI)の観点から検討することを目指し、「先端科学技術とELSI部会」の活動を進めてまいりました。副部会長の今井先生をはじめ、メンバーの先生方と協力しながら、各種の企画・調査を実施してきました。
これまで教育工学分野では、新たに登場するテクノロジーをいかに教育に活用するかといった技術的側面に焦点が当たりがちでした。しかし、生成系AIをはじめとする近年の先端科学技術の教育利活用においては、技術的課題のみならず、倫理的・法的・社会的な側面を分野横断的に検討することが不可欠となっています。
こうした認識のもと、全国大会では企画セッションを実施し、生成AIの教育利用に関する課題を模擬体験型のワークショップを通して議論したほか、責任ある教育実践・教育研究のあり方、教育データ活用における留意点などについて会員の皆さまと対話を重ねてまいりました。
さらに、2023年度には生成AIの教育利用に関して、2024年度には教育データの利活用に関する調査も実施し、全国大会の企画セッションにて結果を報告いたしました。調査からは、ELSI課題に関する認知の向上が必要であること、教育データに関しては問題解決の目的と質を常に吟味し、どのようなデータが真に必要なのかを検討する重要性が示されました。
これら2年間の活動内容につきましては、部会Webサイトにて公開しております。
先端技術とELSI
ELSIや生成AIの授業活用に関するコラム、企画セッション報告なども掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
第2期の活動は終了となりますが、本部会を契機として、会員の皆さまが教育・研究の現場においてELSIの視点を持ち、ご活動いただければ幸いです。