【特集記事】総務実務担当として
総務委員会副委員長 寺嶋浩介(大阪教育大学)
総務委員会は、学会運営を支える委員会であり、裏方としてサポートする役割を担っています。私たちは2か月に一度の理事会準備や全国大会の全体会、総会の運営にも関わり、学会の円滑な活動を支えることを目指しています。また、各委員会の担当領域に位置付けられない業務についても、総務委員会が担当することがあります。たとえば、論文誌の管理は編集委員会、研究会の運営は研究会委員会が担当しますが、判断が難しい場合は総務委員会が検討することが多くあります。
今回の生成AIガイドラインの策定も、そのような役割の一環でした。生成AI技術の普及が進み、論文執筆への応用が見込まれるとともに、生成AIに関する研究テーマも増えると予測されます。さらには、全国大会や研究会でも生成AIに関する発表が行われつつあります。これを踏まえ、総務委員会で学会の生成AIガイドラインを提案する運びとなりました。
生成AIが社会や教育現場に与える影響については、現在も活発な議論が行われています。文部科学省も学校での生成AI活用に向けたガイドラインを公表しています。本学会としてもテクノロジ活用を推進する立場から、こうした社会の流れを受けて対応が必要だと考えました。
「一般社団法人日本教育工学会における生成AI利用に関する基本的な考え方」は理事会での検討を経て、5月に学会Webページで公開されています。9月には東北学院大学での秋季全国大会にて、重点活動領域「先端科学技術とELSI部会」の企画セッションでガイドライン策定の経緯や考え方を報告する機会をいただきました。この場を設けてくださった部会の皆様には、深く感謝申し上げます。今後もこのガイドラインは見直しを重ねていく必要があると考えています。
社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)は、学会活動にも影響を与えつつあります。今回のガイドライン策定や総務委員会の活動を通じ、DXが学会に与える変化を実感しています。このような視点から、学会の運営がより充実し、効率化することを目指したいと思います。技術に精通した多くの会員の皆様からのご意見やご提案も、ぜひお寄せいただければ幸いです。
【特集記事】
SIG-TL(教師教育・実践研究)紹介
SIG-TL 代表 島田希(大阪公立大学)・副代表 古田紫帆(大手前大学)
本SIGは,2014年に「SIG-02」として発足し,2022年にSIG-TLとしてリスタートいたしました.本SIGの略称TLには,Teaching & Learning(教授・学習),Teacher Learning(教師の学び),Technology in Learning(学びにおけるテクノロジの活用),Teacher education and Lesson study(教師教育と授業研究),Transformative Learning(変革のある学び)といった様々な意味が込められています.
本SIGでは,以下のような取り組みを1年にほぼ2回のペースで実施して参りました.
1)関連分野の著名人を招いた研究会
2)萌芽的研究や若手研究者・教育実践者の研究の発表と勉強会
3)データを用いた分析のワークショップ
2024年度の本SIGのテーマは「個別最適な学びと授業研究/校内研修」です.「個別最適な学び」が求められる中で一人ひとりの異なる学びや,教室全体をどのように捉えるとよいのか,メンバーの皆さまとともに考えていきたいと思います.
これまでも本SIGは,360度カメラによる授業記録のワークショップなどを通して,多様な学びを捉える方法について検討してきました.他にも方法はあるのか,捉えた学びをどのように説明することができるのか,それらからどのようにして教員の力量形成が可能なのか,どのように授業開発につなげるのか等の議論を踏まえて,「個別最適な学び」における授業研究や校内研修の可能性や課題について追究する1年としたいと思います.
本年度は,既に2024年10月4日にオンラインで研究会を開催しました.SIG-TLコアメンバーの坂本將暢氏(名古屋大学)による話題提供と参加者同士による対話でした.次回の研究会は2025年2月13日(木)18:00より,佐藤和紀先生(信州大学)をお招きして「『個別最適な学び』をいかにみとるか」というテーマで開催(zoom)する予定です.
2024年10月25日現在,メーリングリストへの登録人数は392人です.実践研究や教師教育,教員養成分野ですでに研究している方だけでなく,これから研究を始めようと思っている方や,興味関心のある方のご参加を期待しています.
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