No.273
No.273
日本教育工学会ニューズレター 2024年07月10日発行

【副会長(会員サービス担当)として】
日本教育工学会 副会長 西森年寿(大阪大学 大学院)

 会員サービス担当副会長の西森年寿です.私にとってはニューズレター副会長挨拶シリーズの2巡目となります.前回の私の担当は,No.262(2023年08月10日発行)でしたので,今回は,それ以降の全国大会や研究会における話題をいくつか書かせていただこうと思います.

 全国大会については2023年秋季,2024年春季と,盛況のまま無事終えることができました.関係のみなさまに改めて感謝申し上げます.学会HP上では開催報告(2023年秋季報告,2024年春季報告)が掲載されていますので,お時間のあるときに目を通していただけると,記憶がよみがえって新しい発見もあるかと思います.

 さて,大会運営には,ジレンマともいえる設計の問題がいくつもあります.昨今,特に頭を悩ませたのが,懇親会とオンラインセッションについてです.

 2023年の秋季大会の懇親会は4年ぶりのもので,200名以上の参加者を得ました.2024年春季大会の懇親会も郷土色豊かで盛会でした.ただし,大規模なパーティーである一方,全体の参加者の3分の1以下ということも事実で,同じやり方を続けてよいのか気になる部分もありました.例えば,懇親会の料金は誰にとっても気軽に参加できる金額ではないだろうなと思います(とはいえ,これについては,直近の大会では学生料金を設けていただけました).また,ソバーキュリアスといった言葉も耳にするようになっており,飲酒をめぐる文化には変化も感じます.加えて,大会が2日間に短縮して以来,近しいメンバーで飲食を共にする「夜」の会が設けづらい,懇親会後の遅い時間にならざるえないことも気になっていました.こうした問題意識から,秋季の事後アンケートで「酒・料理をなくし,料⾦⾯・時間帯等で誰でも参加しやすい懇親会」を提案したところ,反対意見は比較的少ない結果となりました.2024年の秋季大会では懇親会を設けず,1時間強の「ウェルカムレセプション」をご企画いただいていますが,以上のことも背景の1つとなっています.

 もう1つの大会のオンライン参加の在り方については,より悩ましく,いまだ混乱している感覚があります.2023年の秋季大会では,oviceというサービスを利用したオンラインセッションが企画され,私も新鮮な体験ができました.ご担当の先生方には,デザインや,手厚いサポート体制に尽力いただきました.2024年の春季大会でも,オンラインセッションが確保され,一部の発表がZoom上で行われました.

 オンラインセッションの準備には相当な手間がかかります.対面参加者との交流や,一般発表以外の企画のオンライン配信などの充実したオンライン参加の在り方を追求すればするほど,コストが増加します.会場のインターネットアクセスにも気を配る必要もあり,プログラム全体の企画にかなりの制約を与えます.このため,委員の先生方のご苦労をそばで見ていると,オンラインに関しては省力化の方向はやむなしと考えてしまいます.一方で,秋季大会の事後アンケートでは,オンライン発表の機会は残してほしいというご意見も少なからずありました.オンラインでなら参加できるというご事情やニーズに応えることは,学会の将来にとって非常に重要であろうとも認識しています.こうした綱引きの中で,私も今後の確たる方針を見いだせずにいます.委員だけでなく広く会員のみなさまとの対話を続けられたらと考えています. 

 次に,研究会に関する変更について説明させてください.長い間,研究会における発表キャンセルに対しては,その後1年間以内でご発表をしていただくように,いわば振替扱いとしていました.しかし,キャンセル件数が増えると,管理が難しいものがあります.また,J-STAGEに掲載した発表原稿について,発表キャンセルを理由に取り下げることも困難です.とくに再発表のご連絡がいただけない場合にはリスクがあります.これらの問題に対処するため,今年度以降はキャンセルされた場合の振替対応は止め,再度の発表を希望される場合は新規発表として改めて申し込んでいただくことにしました.また,研究会当日まではクラウドストレージで発表原稿を配布し,発表が確定してから,つまり研究会開催日以降にJ-STAGEに掲載することに変更しました.ご理解をいただければと思います.

 最後に直近のイベント等についてのご紹介をさせてください.7月13日(土)に鹿児島大学での研究会,そして9月7日(土)~8日(日)には東北学院大学にて全国大会が予定されています.ぜひご参加を検討ください.さらに10月12日(土)の研究会はZoomによる完全オンライン開催です.対面よりも気軽に,負担も少なく研究交流を味わっていただけるかと思います.SIGについては,新しくマイクロクレデンシャルと特別支援教育のグループが始動しました.継続された3グループとともに,みなさまのご参加をお待ちしています.

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【特集記事 SIG-MCについて】
SIG-MC代表 重田勝介(北海道大学)

 マイクロクレデンシャルSIG(SIG-MC)は、2024年度に新たなSIGとして、学校教育や高等教育、生涯学習にわたり身につけた特定の知識やスキルを証明する「マイクロクレデンシャル」に関わる研究開発を行うために設立されました。本SIGでは、マイクロクレデンシャルの認知と普及、マイクロクレデンシャル利用による学習意欲の向上、マイクロクレデンシャルを介した学習評価やシステム開発に関する研究を推進するための、情報共有やセミナーの開催を計画しています。

 近年、大学等の発行する学位等より粒度の小さな知識やスキルを習得したことを証明し、教育機関において身につける多様なコンピテンシーを裏付ける取組が増えてきました。このような履修証明をデジタル形式で発行するものとして「オープンバッジ」が有名ですが、マイクロクレデンシャルはさらに包括的に、学習者が得たコンピテンシーを専門家育成や就業機会と接続する、デジタルの履修証明です。例えば、マイクロクレデンシャルをCASE (Competency and Academic Standards Exchange)と呼ばれる教育分野における学習目標やスキルセットを標準化し、共有するためのフレームワークと組み合わせて、教育内容の透明性を高めながら、異なる教育機関やプログラム間での学習成果を比較することで、教育プログラムの設計や評価を共通化することが可能になります。また、専門家育成や就業機会の確保のため、職種ごとに求められるコンピテンシーをEU全体で定義するESCO(Europe Standard Classification of Occupation)のような枠組みも整理されつつあり、社会で活躍する人材を輩出する高等教育機関の対応も求められます。

 しかしながら、このような形でマイクロクレデンシャルを教育機関で利用するためには、教育機関の既存のカリキュラムやシラバスをCASEに対応させたり、マイクロクレデンシャルを介した真正性のある学習評価を普及するなど、その手法に関する先進的な研究が必要です。本SIGの活動によって、国内外においてもまだ途上であるマイクロクレデンシャルに関わる研究開発を促進したいと考えています。

 本SIGの活動に興味をお持ちの方々におかれましては、ぜひSIGメーリングリスト(会員専用ページから「SIG参加申請」)にご登録頂き、本SIGの関わるイベントや勉強会等にご参加いただければ幸いです。
研究会(初年次教育・キャリア教育/一般)
開催日時
2024年7月13日
開催場所
鹿児島大学 郡元キャンパス(鹿児島市)
発表申込締切:2024年5月13日(月)
原稿提出締切:2024年6月13日(木)
参加登録締切:2024年7月9日(火)
詳細はこちら
国際会議ICoME2024
ICoME(International Conference for Media in Education)2024
■日時:2024年8月21日(水)-23日(金)
■場所:明治大学中野キャンパス(東京都中野区)
※オンラインでの発表はありません
詳細はこちら
2024年秋季全国大会
会場:東北学院大学 五橋キャンパス(仙台)
大会期間:2024年9月7日 - 9月8日
詳細はこちら
行事予定
国際会議

開催日
2024年08月21日〜2024年08月23日
開催場所
明治大学中野キャンパス(東京都中野区)
全国大会

開催日
2024年09月07日〜2024年09月08日
開催場所
東北学院大学 五橋キャンパス(仙台)
研究会

開催日
2024年12月07日
開催場所
岩手県立大学 滝沢キャンパス(滝沢市)
全国大会

開催日
2025年03月08日〜2025年03月09日
開催場所
成城大学
開催報告
SIG:SIG-ID 第21回定例ゼミ
2024/06/10
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