日本教育工学会 2025年春季全国大会

自主企画セッション

自主企画セッションは日本学術振興会(JSPS),科学技術振興機構(JST)などの公的機関や財団から受けた研究外部資金による研究成果の発信,普及を目的に,シンポジウムやワークショップなどのセッションを自主企画し,実施するものです.

今大会の自主企画セッションの概要は,以下の通りです.

「教員コミュニティの実践知とその展開:パターン・ランゲージを通じた考察と今後の展望」

日時
3月8日(土) 12:30~14:00
登壇者
飯吉 透(京都大学),長田 尚子(立命館大学), デイヴィス 恵美(大阪成蹊大学),髙尾 郁子(京都薬科大学),神崎 秀嗣(秀明大学),田中 浩朗(東京電機大学),坂本 洋子(白鴎大学),木村 修平(立命館大学),井庭 崇(慶応義塾大学)

本研究では、多様な背景や専門を持つ教員が学び合いを通じて教育改善に関わる困難を乗り越え、教員自身の活動の方向性を見出していく環境としての実践コミュニティと、そこで創造される実践知に着目してきた。本セッションではMOSTフェローシッププログラムから発展したMOSTコミュニティにおける実践知をパターン・ランゲージにまとめた活動の成果を考察し、実践知の展開方法の一つとしてパターン・ランゲージを用いたワークショップを行う。討論では、パターン・ランゲージ研究をけん引されている慶應義塾大学の井庭崇先生を指定討論者として招聘してコメントや論点提示をお願いし、全体討論を行う。最後に、コミュニティの設計者による総括的な考察を踏まえ、生成 AI時代における実践コミュニティの意義と役割と考える。

「領域横断で初年次教育プログラムを⽀える学⽣スタッフ育成の現状と課題」

日時
3月8日(土) 12:30~14:00
登壇者
中沢 正江(京都産業大学),千葉 美保子(甲南大学),川面 きよ(成城大学),久保 槙祐野(関西学院大学),⼭⽥ 嘉徳(関西大学)

学部横断で取り組まれる⾼⼤接続・⼤学適応を⽬的とした初年次教育プログラムで、⼆年次以降の学⽣が学⽣スタッフとなり活躍している。このようなプログラムでは領域特化の初年次教育に⽐べ、サポートを⾏う学⽣スタッフに求められるスキル・知識・態度は幅広いものとなり、その系列化も領域に関するものに準じることができないであろうことが予想される。では、その学⽣スタッフの育成はどのように⾏われているのだろうか。本企画では、学⽣スタッフ育成の組織体制・育成プログラムについて現場担当者か ら実態を共有し、各体制・育成プログラムの利点や不利点を検討する。

「時空間マルチバース防災学習環境の構築に向けたバーチャル環境の開発と今後の展望」

日時
3月8日(土) 12:30~14:00
登壇者
瀬⼾崎 典夫(長崎大学),⽥代 穂⾹(長崎純心大学),井原 章之(情報通信研究機構),福⼭ 佑樹(関西学院大学),森⽥ 裕介(早稲田大学),⻑濱 澄(東北大学),北村 史(長崎大学)

本研究では,時空間マルチバース防災学習環境の構築に向けて,⻑崎における災害の実際をバーチャル環境に実装した.なお,⻑崎における災害の事例として「⻑崎⼤⽔害」を挙げ,長崎市街地と長崎大学文教キャンパスとの災害前後の様子を示すことによって,防災教育における学習効果を検討することを試みている.本企画では,バーチャル環境と実環境とを往還すべく,AR 技術およびタンジブルユーザインタフェースの実装に向けた設計指針について述べる.また,開発段階のバーチャル環境へのゲーミフィケーションの導⼊や,STEAM 教育への展開について⾔及するとともに,効果的なマルチバース学習環境の構築や学習効果の評価の⽅針について議論を深める.

「学校教育における『認知症ケア』に関する学びについて考える」

日時
3月8日(土) 12:30~14:00
登壇者
佐藤 ⾹苗(東海学園大学),鈴⽊ みずえ(浜松医科大学)

⾼齢者の約4⼈に1⼈が認知症あるいは予備群である現在、正しい知識と理解に裏打ちされた認知症⾼齢者とその家族へのサポートは、国⺠全体の課題である。本ワークショップでは、⼩・中・⾼等学校等で総合的な学習の時間や道徳をはじめ多様な授業、および地域活動における「認知症ケア」に関する学びの機会の拡充に向けて認知症ケアの理念である「パーソン・センタード・ケア」に準拠した学習プログラムの推進について、中核となる教諭や教育研究者らと意⾒交換をしたい。また、最も卑近なことの取り組み例として、認知症⾼齢者の⾷事特性に焦点をあて、我々が開発した「おかず団⼦」を教材として授業で活⽤する⽅略について考える機会としたい。