ワークショップ ※プログラムは暫定版です

  ワークショップは大会企画委員会が中心となって開催します.このワークショップは,参加者が設定した教育工学に関連するテーマについてインフォーマルに語りあう場です.実践は進んでいるものの研究として認識されていない問題や,新しい情報技術の教育利用などの萌芽的な研究について議論を行っていただくことを考えております.
ワークショップは主催者主導で進行していただきます.また,予稿の用意は必要ありません.なおプログラム集には,ワークショップテーマ名・主催者/共催者名・概要が掲載されます. ワークショップ参加者は各ワークショップ会場の受付で記名をお願いします.ワークショップのみに参加者される方は大会参加費は無料です.ワークショップ会場受付で名札をお渡ししますので,自分でご記入ください.
なお,このワークショップを機に主催者と参加者との交流が促進されるよう,参加者名簿を各ワークショップ主催者にお渡しすることにしていますので,それをご承諾の上でご参加ください.

W01 はじめてのデザイン研究

9月17日(土)18:00〜19:30   会場:202
主催者:大島 純(静岡大学)
共催者:大島律子(静岡大学),益川弘如(静岡大学),山口悦司(神戸大学),
望月俊男(専修大学),北澤武(首都大学東京)

 デザイン研究は,革新的な学習環境を設計し,授業実践を通してその効果を分析・評価・改善を繰り返すことで,学習環境の設計指針を確立する方法論です.本WSでは,デザイン研究の概要を解説し,日本教育工学会論文誌に刊行された研究事例をもとに,デザイン研究の方法論でさらにどのような発展性が考えられるかをグループ・ワークを通して議論します.
【事例論文】 望月俊男・北澤武.(2010).ソーシャルネットワーキングサービスを活用した教育実習実践コミュニティのデザイン.日本教育工学会論文誌,33(3),299-308.
準備の都合上,事前登録(joshima@inf.shizuoka.ac.jp)をお願いします.また,終了後議論の場を別に予定しています.

W02 震災や危機的状況への対応を考える
ー震災に被害を受けた小中学校に向けて教育工学として貢献できること,また変動社会における職業変動と職能育成のための生涯学習システムの構築について考えるー

9月17日(土)18:00〜19:30   会場:203
主催者:小柳和喜雄(奈良教育大学), 東原義訓(信州大学)
共催者:西之園晴夫(NPO学習開発研究所), 生田孝至(新潟大学),
苅宿俊文(青山学院大学)

 東日本大震災で多くの人や学校が被災し,学習や就業の機会を失う事態が生じた。これへの対応を考えていくためには,従来のフォーマル学習(学校、大学、専門職業教育)では十分に対応できないことが言われてきている。そこで,現在できることと,今後すべきことなどを,学習成果の質保証とその社会的認証などの課題にも目を向けて,低コストの学習機会を提供する技術・実践の蓄積方法,それらを見通す生涯職能学習システムの構築を「学習論」の視点から考える。(1)大災害時の危機的状況における学習機会の提供,(2)学習成果の質保証と社会的認証,学習コストの低減化などで,教育工学ができることをワークショップを通じて考える。

W03 実社会との協動による学生の学び〜徹底的現場主義〜

9月17日(土)18:00〜19:30   会場:204
主催者:久保田賢一(関西大学)
共催者:黒上晴夫(関西大学),村上正行(京都外国語大学),岩崎千晶(関西大学),
岸 磨貴子(京都外国語大学),時任隼平(関西大学),
小島亜華里(関西大学),野口 聡(関西大学)

 近年,大学教育において,実社会への参画を通した学生の学びが注目されている.そこでは,現実の仕事場(フィールド)で実際に起こる諸問題を自らの問題として捉え,社会人と協同で解決するプロセスを重要視する.本ワークショップでは,実社会との協同による活動は卒業後に社会人となる学生にとって重要な学びの場であるという立場をとり,実際に活動を行う際の具体的な課題と学びの可能性を議論する.大学生が実社会で活動する際には,大学の指導者がフィールド側と連携して学習環境を整える必要があるものの,目的の不一致や連携不足が課題となっている.そこで,これまで大学で行われてきた実践を紹介することで,実際に起きたコンフリクトや解消方法を共有し、学習の目的とフィールドの需要がうまくかみ合うような調整方法を考える.

W04 ゲーム要素を活かした学習ソフト開発の事例研究

9月17日(土)18:00〜19:30   会場:302
主催者:藤本 徹(東京大学)

 ゲームを利用した教育は、多様な展開が可能な一方、制約や課題も多く、ゲーム要素を活かしつつ実用に耐える教材の開発には困難も多いのが現状である。本セッションでは、ベネッセのニンテンドーDS学習ソフト「得点力学習DS」を事例として取り上げ、ゲーム要素と学習要素を組み合わせたデザイン手法について議論する。同ソフトは、ゲームデザインの手法を応用した「ゲームニクス」のデザインアプローチを取り入れて開発されており、学習指導要領対応教材としての基準を保ちながらゲーム要素を取り入れるためのデザイン上の工夫が施されている。セッションでは、同ソフトの開発担当者にゲストとして話題提供していただき、参加者とともにゲーム要素を取り入れた学習ソフトの可能性や課題を検討する。

W05 1億円ワークショップ
-社会を研究に巻き込む戦略、関心の翻訳を学ぼう!-

9月17日(土)18:00〜19:30   会場:205
主催者:奥本素子(総合研究大学院大学)
共催者:岩瀬峰代(総合研究大学院大学), 山田雅之(総合研究大学院大学),
七田麻美子(青山学院大学)

 1億円ワークショップは、研究者を目指す大学院生に、社会とのコミュニケーションについて学んでもらうために開発されたワークショップである。ラ・トゥールは科学者の活動を人類学的に考察し、研究活動において社会を巻き込む重要性について論じている。他者を巻き込む方法として彼が提案しているのが、「関心を翻訳する」という方法である。関心を翻訳するとは、自分の主張を事実に変換するのを補助してくれる他者を獲得するため、他者の目指すものと自分の主張したい部分とを何らかの形で融和する戦略である。本ワークショップは、大学院生に啓蒙的ではない、サイエンスコミュニケーションの存在を理解させる意味で、教育的に有益であった。

W06 NHKクリエイティブライブラリーを用いた
映像編集体験ワークショップ

9月17日(土)18:00〜19:30   会場:206
主催者:土居由布子(東京大学)

 NHKが提供しているデジタル映像制作サイト「NHKクリエイティブライブラリ」を用いて、実際に映像編集を体験してもらうワークショップを行う。この活動を通して映像への理解を深める事が目的である。近年、YouTubeなどの動画投稿サイトが注目される中、個々人の映像リテラシー向上の必要性も指摘されている。さらに、英国映画協会(2000)は「編集が動画の意味を作る上で大きな役割を持つことを理解するのに映像編集のデジタルツールは大いに役立つ」という見解を示している。そこで、NHKクリエイティブライブラリで動画編集を体験し、映像編集の役割について話し合い、理解していくワークショップを行う。

W07 プレFDの在り方を問うー大学院生が大学教育を考えるー

9月17日(土)18:00〜19:30   会場:208
主催者:大山牧子(京都大学)
共催者:畑野 快(京都大学), 山田嘉徳(関西大学), 田口真奈(京都大学)

 社会状況の急激な変化に伴い,大学教員はこれまで以上に教育者としてのキャリア意識の向上が求められている.このことから,近年,大学院での大学教員養成機能,いわゆるプレFDの重要性が高まっている.しかし,新任教員は業務への適応や自身の専門性に時間を割くことが多く,大学での教育について学ぶ機会が少ない.したがって,大学院生の時期に大学教育に対する知見を身につけ,キャリア意識を向上させることは,教員としての成長につながると考えられる.本ワークショップでは,大学院生,及び院生を指導する立場の大学教員(FD担当者等も含む)を対象に,現在の大学教育をとりまく様々な問題について考えるワークショップを通して,プレFDの在り方を探ることを目的とする.

W08 MULTILOGでテストデータの項目反応理論による分析をしてみよう

9月17日(土)18:00〜19:30   会場:303
主催者:御園真史(島根大学)

 項目反応理論によるテストの分析は普及してきている.分析に用いられる市販ソフトとしてBILOG-MG等があるが,BILOG-MGでは,段階反応モデル等の分析ができない.この分析を行うためのソフトとして,MULTILOGがあるが,MULTILOGに関する日本語の文献やマニュアルが少なく,せっかく分析をしたいと思っても,なかなか先に進まないのが現状ではないかと思う. そこで本ワークショップでは,MULTILOGでできることを紹介しながら,仮想データを用いて実際に分析のデモを行う.今回は,時間の関係もあり,理論的な内容よりも,実際にどう使うかという点に焦点をあてるので,項目反応理論が初めてという方も安心してほしい.

W09 教育実践研究論文査読シミュレーション

9月17日(土)18:00〜19:30   会場:209
主催者:山内祐平(東京大学)

 教育実践研究論文の構成について学ぶことを目的に、学会誌に掲載された論文について参加者が査読者の役割をシミュレーションしながら議論するワークショップを行う。大学院生など査読経験のない参加者に査読のプロセスを理解してもらうとともに、査読者の相互理解の場としても位置づける。教育実践研究論文に関する投稿規定と査読ガイドラインについて説明した後、3人グループで論文担当・査読者1・査読者2のロールプレイを行う。対象論文は、編集担当理事である山内と小柳が協議した上で選定する。定員は30名を予定。

W10 ラウンドテーブル:「大学教育センター」に所属する若手教員の悩み:業務・研究・キャリア

9月17日(土)18:00〜19:30   会場:304
主催者:重田勝介(東京大学)
共催者:松河秀哉(大阪大学),渡辺雄貴(首都大学東京),林 一雅(東京大学)

 近年いわゆる「大学改革」の推進に伴い、学内設置の「大学教育センター」の位置づけや役割が変わりつつあります。その中でセンターに勤務する若手教員に求められる業務や職能にも変化が及んでいます。このワークショップは、教育工学研究に携わりながら「大学教育センター」に勤務する若手教員や研究者を目指す大学院生が、日頃の振り返りや意見交換をする場です。当日は複数の討論者による発表に続き、「センター業務と研究の両立」「『実践現場』としての大学の魅力と限界」「キャリア形成」などを軸にディスカッションを行います。本ワークショップへの参加は、若手研究者同士の「横のつながり」作りにも寄与すると思われます。多くの若手教員、大学院生の参加を期待します。