副会長(編集担当)として
副会長 田口真奈(京都大学)
このたび,日本教育工学会の編集長を拝命いたしました田口真奈です.
本学会の学会誌は,1976年に創刊されており,まもなく第50号の発行を迎えます.その節目の年に編集長という重責を担うことになり,その歴史と責任の重さを感じています.
「学会誌は学会の顔」とよく言われます.その発行を担う編集委員会は,49名の委員からなる学会最大の委員会です.副編集長の瀬戸崎典夫先生(長崎大学),担当理事の市川尚先生(岩手県立大学),大浦弘樹先生(東京理科大学),伏木田稚子先生(東京都立大学),そして編集長補佐の香西佳美先生(立命館大学)という幹事団を中心に,編集委員会全体で論文誌の質と信頼性を守っています.さらに,特集号編集委員会,ショートレター号編集委員会,合同英文誌Information and Technology in Education and Learning (ITEL)編集委員会がそれぞれ組織されており,この「学会の顔」は実にたくさんの会員の尽力に支えられています.また,論文誌の発行には査読者の先生方のご協力も欠かせません.毎年,多くの会員,あるいは非会員の先生方にご協力いただいており,深く感謝申し上げます.
私が本学会に入会したのは1994年,大学院に進学した年でした.以来30年以上,論文誌を読むことや自ら論文を投稿することを通じて,多くを学んでまいりました.初めて論文の査読を依頼されたときは,誇らしく思うと同時に,「これほど大変な作業を,多くの研究者が無償で担ってくださってきたのか」と大きな驚きを覚えました.2012年に編集委員会に加わり,副編集長を経て編集長となった今,その思いはいっそう強くなっています.
論文は一つひとつが研究者の努力の結晶であり,ときに「人生がかかっている」と言っても過言ではありません.そうした大切な原稿であるからこそ,編集委員会は1本1本の論文に真摯に向き合い,世界に発信するまでのプロセスを慎重に進めています.
本学会は会員数が3,800名を超える,教育系では国内有数の規模を誇る学会であり,ありがたいことに,論文投稿数も年々増加しています.2024年度には,一般号に130本,特集号に22本,ショートレター号に160本の投稿をいただきました.投稿数の増加は学会の活力を示す一方で,査読者不足やオープンアクセスに伴う費用,研究倫理などの課題にも直面しています.幹事団では,日々の投稿論文のチェックに加え,学会誌の質と信頼性を守るための取り組みを,編集委員の先生方とともに進めています.
自分の研究が論文誌に掲載されるということは,自分が面白い,大切だと思って取り組んできた成果を,確実に後世に残し,世界に発信できるということです.この素晴らしい仕組みが今後も続いていくよう,会員の皆さまには積極的な投稿をお願いするとともに,学会誌の発行を支える側にもぜひ加わっていただければ幸いです.
顕彰委員会について
顕彰委員会委員長 永田智子(兵庫教育大学)
本年度より顕彰委員会委員長となりました.どうぞよろしくお願いいたします.顕彰委員会の仕事は,論文賞,研究奨励賞を選定することです.
論文賞は,前年度の学会論文誌に掲載された論文(論文,教育実践研究論文教育システム開発論文)の中で,特に優れた論文に対して贈られる賞です.編集委員会による推薦,論文賞選考委員会による評定,理事・代議員・編集委員による投票というプロセスを経て,理事会で決定します.
研究奨励賞は,春と秋の全国大会で研究発表を行い,かつ優れた研究歴を持つ若手研究者に対して贈られる賞です.選定にあたっては,まず理事・代議員により候補者の推薦が行われ,推薦結果に基づき理事・代議員により二段階の投票が行われます.さらに候補者の過去5年以内の日本教育工学会での研究歴を得点化して加えられた結果に基づき,理事会で決定します.
論文賞は対象論文総数の5%程度の論文,研究奨励賞は3名を超えない範囲で表彰することとなっております.会員数3,700名を超える日本教育工学会において,これらの賞を受賞できる人は少なく,大きな名誉だと言えるでしょう.一方で,教育工学が扱う研究領域は幅広く,異なる領域の研究を比較し選考することは非常に難しいものがあります.このような課題を完全に解決するのは非常に難しいですが,顕彰委員会では,選考基準やプロセスを明確化し,論文賞選考委員会委員は専門領域のバランスを考慮し,投開票では不正防止に努めるなどして選定作業を行っております.引き続き顕彰委員会はみなさまの研究を適切に奨励できるよう努力していきたいと思います.
SIG-IDについて
代表:阿部真由美(早稲田大学)
副代表:甲斐晶子(青山学院大学)
SIG-IDは,インストラクショナルデザイン(Instructional Design,ID)の基礎理論を探究し,学校教育や企業内教育,生涯教育といった多様な現場への適用を普及することを目指して活動をしています.具体的には,以下のような活動を促進していくことを目的としています.
・IDに関する研究を行う
・海外のID理論や研究を紹介する
・IDに関心を持つ方々に,IDの基礎を学んでもらう機会を提供する
直近では以下のイベントを予定しています.関心のある方はぜひご参加ください.
●日本教育工学会 2025年秋季全国大会
SIG-IDセッション「インストラクショナルデザインの現在地」
日時:2025年9月27日(土)13:00-14:20
場所:ウィンクあいち 9階 大会議室901
セッションのテーマは「インストラクショナルデザインの現在地」です.“Trends and Issues in Instructional Design and Technology”の第5版(2024)を題材に,第3版(2013),第4版(2017)からの変遷をたどりつつ,現在注目されるトピックと動向,そして今後の展望について議論します.参加者それぞれの研究や実践と結びつけながら,IDの現在地とこれからについて共に考える場としたいと思います.
●ID定例ゼミ
SIG-IDでは,定例ゼミを1~2か月に1回程度の頻度でオンライン開催し,IDに関する研究のレビューをしています.参加者が持ち回りでトピックや文献を選定して話題を提供し,皆で議論します.定例ゼミへの参加メンバーは随時募集しています.参加方法は以下をご覧ください.
SIG-IDウェブサイト
https://sites.google.com/view/jset-sig-id
IDに関心のあるみなさまのSIG-IDへのご登録をお待ちしています.
SIG-IDの参加申請
https://www.jset.gr.jp/sig/sig-id/