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日本教育工学会 JAPAN SOCIETY FOR EDUCATIONAL TECHNOLOGY
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会長ご挨拶

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  大きな変革と学会の果たす役割(2002年1月1日)
日本教育工学会 第4代会長 清水 康敬
 
 
 昨年6月に本学会の会長に選出され、理事、監事、評議員、各種委員会委員をはじめ会員の皆様のご支援のお陰で、新しい年を迎えることができました。本年も引き続き、よろしくご支援ご鞭撻をお願いします。21世紀も2年目になり、社会は大きく変革しています。特に、教育に関する大きな変革が行われていますが、本学会に期待されている事項が多くあります。それに応えていくことが本学会の発展につながるものと考えています。ここでは、二つの点について述べてみたいと思います。
 

1.大学教員の教育能力向上
   新しい学習指導要領が本年4月からスタートします。今回の改訂は大きな変革を求めており、新しい時代における教育の在り方として期待されています。その反面、学力低下問題などの議論も出ています。これらは単なる批判ということでは済まされず、将来の日本社会を担う子ども達が達成すべき学力という根本的な問題でもあります。

 以前、最近の理科離れが多くの議論を呼び、「分数もできない大学生」とのことから、最近の大学生の学力低下が問題となっています。この低下は、高等学校までの教育が原因であると言う人が居ますが、最も大きな要因は、大学進学率の向上です。昔のように大学進学率が低い時代には、高校生の中から限られた人数だけが大学に入ることができました。しかし、最近のように高校卒業生の半数が大学へ進学するとなると、平均点以下の生徒が大学に入学してくるわけです。したがって、大学関係者からみれば学生のレベルが低下したと感ずるのは当然です。したがって、大学としてはそのレベルを前提にした教育が必要になってきます。また、入学してくる学生の多様化が起きています。

 このようなことから大学における教育の在り方が問われています。そして、大学教員の教育能力が重要となっています。今迄、大学教員の評価は研究業績を中心に行われていましたが、これからの大学における教育の重要性を考えますと、教員の教育能力の向上が鍵となります。その観点につきましては、平成12年11月22日に出された大学審議会の答申「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」の中で、「教員の教育能力や実践的の能力の重視」が述べられています。またこの答申を受けて、平成13年3月30日に改訂された大学設置基準における教員の資格として、「大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者」と記述されました。従来この部分の記述が「教育研究上の能力があると認められる者」となっていました。したがって、各大学ではこれを踏まえて教育の在り方を明確にする時期となっています。そこで重要となるのが、大学教員の教育能力とは何かということです。この観点については、本学会の会員が各大学において、発言していくことが期待されます。

 また、大学ではそれぞれの学部学科の学生に修得させる知識、スキル、行動力を明確にし、卒業時にはその能力を保証して社会に出すことが求められます。この観点においても、本学会の会員への期待があるように思います。
 

2.教育の情報化の推進
   教育の情報化の推進に関しましては、今迄、本学会と会員が大きな役割を果たしてきました。新しい学習指導要領がスタートする年に当たり、今後の情報化の在り方を明確に認識しておく必要があります。特に、今回の改訂では各教科指導におけるコンピュータやインターネットの活用が重要となっています。それに加えて、各教科の中における情報教育も重要です。ただし、これらの違いをキチンと認識しておくことが大切であると思います。

 何故、学校教育においてコンピュータを使う必要があるのかについても、納得できる説明ができるようにしていくことが本学会に求められている1つであると思います。英国では、ICT(情報コミュニケーション技術)が子どもの成績を高めているというデータを示しています。例えば、小学校卒業時(キーステージ2)に全国テストの結果から、ICTがよく整備されている学校と整備されていない学校では、成績が5ポイントの差があります。そして、教科指導で教員がICTをよく使っている学校の児童の成績は、35ポイントも高いという結果です。これは、教員が各教科の指導にコンピュータ等を活用することによって、子どもに「分かる授業」を実現させることを示しています。また、日本の中学校に相当するキーステージ3の全国テストの結果でも、ICTがよく整備されている学校の生徒は7ポイント高くなっています。そして、ICTスキルが高い生徒が多く居る学校の方が、生徒の成績が15ポイント高いというデータです。これは、生徒が自ら学ぶ際にICTスキルが重要であることを示しています。

 このように、教科指導における基礎基本の教育において教員がコンピュータ等を使って分かり易い授業を実践することと、情報教育の目標である情報活用能力を育成することが、子どもの学力向上に関係していることを示しています。我が国においても、本学会を中心にして、教育の情報化がもたらす効果を具体的に示していくことが、その推進に大きく寄与することになると思います。なお、情報化の影の部分についても配慮する必要があることは言うまでもありません。
 

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