不適切な引用による掲載論文の取消について

一般社団法人 日本教育工学会
会長  堀 田 龍 也

日本教育工学会論文誌に掲載された以下の論文において不適切な引用による著作権侵害の問題があることが判明しました.

「ワークショップ実践家のデザインにおける熟達過程-デザインの方法における変容の契機に着目して」 日本教育工学会論文誌, 33(1), pp.51-62, 2009

編集委員会と理事会では2021年1月に,この論文の著者より自己申告があり,「不適切な引用等に関する特別委員会」を設置して慎重に調査し審議してきました.引用元の論文著者とも連絡を取り,確認をした結果,引用の部分に2ヶ所の著作権侵害があることが判明しました.

これに伴い,本学会が定めている「不正行為に対する対応と防止に関する規則」に基づき,著者に対する処分として,上記の論文(Translationを含む)の掲載を取り消すこと,1年間の論文投稿を禁止すること,著者に厳重注意をすることを編集委員会で慎重に審議した上で,理事会で審議し最終決定をしました.また,当該論文が受賞した論文賞は,取り消しに伴い同様の措置となります.

この論文の査読過程においてこれらの問題を発見することは難しかったことを特別委員会で確認したとはいえ,不適切な引用の問題がある論文が掲載されてしまったことは,学会としてたいへん遺憾であり,衷心よりお詫び申し上げます.学会としては,論文投稿に関連した倫理規定を投稿者がより適切に認識できるように,編集委員会に対して,倫理規定の見直し,啓発活動など,種々の検討を行って,今後,不適切な引用などの著作権侵害が二度と起きないように会員に周知徹底するように指示しました.

なお,学会員におかれましても,論文投稿のみならず,全国大会の発表にかかる講演論文や,研究会での発表予稿などに関わって,改めて下記の「科学者の行動規範」を十分理解して,行動していただくよう切にお願い申し上げます.

(日本教育工学会論文誌「投稿規程」より抜粋)

3 . 科学者の行動規範と不正行為の禁止
(1)科学者の行動規範について
科学者の不正行為が続発していることから,その再発防止に対する取り組みが問われている.そのため,日本教育工学会論文誌及び ITELに投稿する者は,日本学術会議が声明を発した「声明:科学者の行動規範について」において説明している科学者の行動規範を十分理解して,行動しなければならない.

日本学術会議「声明:科学者の行動規範」
http://www.scj.go.jp/ja/scj/kihan/