課題研究

 以下のような6件のテーマの設定が予定されています。なお,課題研究は,発表希望者に事前にプロポーザルを提出していただき,大会企画委員会が発表の可否を決定いたします。各課題について十分に討論することを目的としていますので,発表者は,発表だけで退席することなく,最後の総合討論に参加しなければなりません。この点,ご留意ください。

  • K-1 つながりメディアの教育利用
        −モバイル,ユビキタス,ロボットアバタ,SNS等−

    コーディネータ:
    緒方広明(徳島大学),中原 淳(東京大学),高井尚一郎(内田洋行)

     近年,場所や空間を超えて,人々を結ぶ様々な「つながりメディア」の教育利用が進んでいる。例えば,モバイル端末を用いて,親子や友達をつないで学習を支援するシステムやコミュニーションロボットを用いて教室同士をつなぐといった,新しい「つながりメディア」を用いた教育支援の試みが数多くされてきている。
     また,センサネットワークやRFIDタグなどを用いて学習者同士をつなぐ,ユビキタス学習環境についても,実用化の段階に進んできている。さらに,最近では,Web2.0の技術やSNSなどのSocial Computing技術をe-Learningに取り入れた「e-Learning2.0」という新しい概念も登場してきている。
     本セッションでは,このような「つながりメディア」の教育利用に関係する研究発表を幅広く募集する。また,教育利用を前提とした新しいメディア技術の提案・開発に関する研究発表も歓迎する。

  • K-2 教育工学分野における新しい技術を活用したシステム開発の展開

    コーディネータ:
    金西計英(徳島大学),林 敏浩(香川大学),室田真男(東京工業大学)

     学習状態の適切な診断は,教育システム開発の大きな目標の一つである。最近,大量情報からの知識発見や脳科学等の分野で多くの成果が蓄積されている。そうした成果の教育工学分野への応用,学習者の把握への応用に注目が集まっている.例えば,e-Learningシステムがコンテンツ管理を主とするLMSから,ユーザの様々な情報を収集するe-Portfolioへと変化するにつれ,大量のユーザ情報を積極的に活用しようとする流れが生まれている。
     本課題研究では,学習履歴のマイニング,メタオブジェクトを用いた学習履歴の共有,生体情報や感性情報を用いた学習履歴の分析等,学習状態を適切に診断するための新しい技術を活用した教育システム開発の発表を募集する。研究者の間で知見を共有し,教育工学的なシステム開発研究のあり方やその評価手法について,議論が深まることを期待する。新しい技術を用いた教育システムを開発されている研究者の積極的な発表を期待する。

  • K-3 ICTを活用した教育システムをどのように評価するのか

    コーディネータ:
    久保田賢一(関西大学),向後千春(早稲田大学),
    栗山 健(学習研究社),平嶋 宗(広島大学)

     ICTの教育・学習への活用が急速に進んできた。それに伴い教育工学の文脈において, ICTを活用した効果的な教育・学習のあり方に関する研究が盛んに行われるようになった。これらの研究は,教育・学習という現象を対象としているが,ソフトやハードを 開発した技術者とその技術を教室で活用する教師の立場では,「ICTを活用した教育システム」の評価には大きな違いがあることも明らかになった。教育工学の領域では,企業,技術者,教師,指導主事などさまざまな領域の人たちが,教育・学習に何らかの形で関わり,研究が行われている。しかし,領域の違う人たちの間のコミュニケーションが十分にとれているとはいえず,各領域での評価が他の領域のなかで十分に生かされていないのが現状である。技術の側と教育を実践する側にとって有益な評価とはどのようなものか.あるいはどのようなコミュニケーションを両者の間で持つことが必要なのか.教育実践,心理学,技術開発,ビジネスなどの観点から幅広い視点で議論し,「望ましい評価のあり方」についての理解を深めたい。

  • K-4 初等中等教育におけるICT活用のデザイン・実践・評価

    コーディネータ:
    高橋 純(富山大学),森田裕介(早稲田大学)

     「教育の情報化」に関する政策が進められ,ICTを活用したわかる授業の実現や学力向上が求められてきている。そこで,本課題研究では,テーマを本年の論文誌特集号とも連携させつつ,初等中等教育での学習指導におけるICT活用のデザインと実践,その評価等についての議論を行いたい。具体的には,わかる授業や学力向上を目指したICT活用の授業モデル,教員のICT活用指導力の向上を図る教員養成カリキュラムや現職教育プログラムの開発研究等を扱う。また,特に今日,初等中等教育における児童・生徒の学力向上を期したICT活用が政策的に推進されており,本学会としてこの分野の知見を整理することが求められていることから,初等中等教育における学力向上とICT活用に関わる研究についても発表されることを期待したい。

  • K-5 情報教育研究・実践の方向性−教育課程の改訂を受けて−

    コーディネータ:
    小泉力一(尚美学園大学),中橋 雄(武蔵大学),野澤敏夫(東京書籍)

     次期学習指導要領ではこれまで以上に情報教育の充実が唱えられており,小学校段階では問題解決的学習や探求活動を通して情報活用能力を身に付け,中学校段階ではこれを基礎に各教科等でICTを主体的に活用し,高校段階で進路によらず必要となる情報活用能力を身に付けるとされている。中でも,発達段階に応じた情報モラル教育は喫緊の課題と位置づけられ,社会の情報化に対応できる能力の育成がより具体的に示されている。本学会では,カリキュラム開発,学習評価,実践研究,学習環境デザイン,教材開発,教師教育など,様々なアプローチで情報教育の研究成果が報告されてきたが,これらをいま一度批判的に見直すことにより,新しい教育課程における情報教育のあり方について議論したい。本課題研究では調査データや実践結果の考察に基づき,これからの情報教育研究および情報教育実践の方向性について提案してもらいたい。

  • K-6 新しい時代に対応する学力,それを育む授業・カリキュラム

    コーディネータ:
    新地辰朗(宮崎大学),田口真奈(京都大学),野中陽一(横浜国立大学)

     様々な教育課題の解決に向けて,新しい学習指導要領が示され,言語活動の重視や新しい時代に対応する学力,例えばPISA型読解力の育成が求められている。基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着及び知識・技能を活用する力の育成を目指す上で,引き続き, ICT活用等を含めた教育方法の工夫や改善が求められる。社会の要請や児童・生徒の実態に応じた教育を実現するために,学校や教師には,効果的な授業やカリキュラムの在り方を構想し,さらに結果を見極める力量が求められている。
     本課題研究では,学力,授業,カリキュラムなどの観点から,様々な方法によって教育活動を質的に向上させようとする,教師,学校そして教育委員会による意図的・計画的な取り組みに関わる実践報告,開発されたカリキュラム,研究成果等を取り上げる。