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  第27回日本教育工学会全国大会を迎えて(2011年9月)
日本教育工学会 会長 永野和男(聖心女子大学)
 

 第27回日本教育工学会全国大会をこの東京・八王子の地、首都大学東京のキャンパスで開催できますことを、皆様とともにお喜びしたいと思います。

 今年は、3月11日に東日本大震災が起こりました。東北地方で、1000年も経験していない規模の地震が発生したことも驚きですが、同時に生じた大津波で、想定を超える大惨事になったことは、生涯忘れることはないでしょう。

 あれから数カ月がたち、現場はやや落ち着きを取り戻したかに見えます。しかし、被災地の教育支援はこれからますます必要となり、長期にわたり継続していかなければなりません.そこで、本大会では、特別企画として、教育工学の力を被災者の今後の教育支援に活かすには、何ができるかを皆で考え、提案していきたいと考えています。学会会場に、テーマに分かれたいくつかのパネルを用意し、研究者としてあるいは教育実践家として、これからの社会にどのように貢献できるか、今後どのように支援を続けていくか、皆様の体験やアイディアを提言していただき、今後の活動に生かしていきたいと思います。

 震災の問題は、被災地支援だけの問題ではありません。その後の原発事故での対応やそれに関する報道、政界と学界の距離の保ち方、情報の公開とその方法等では、日本社会にまだまだ残る古い体質を露見してしまいました。学習環境の整備を含む復興は、解決までに数10年を要するのではないかと思います。この天災・事故・事件は、「3月11日以後」という言葉を作り出したように、人の命、個人の幸福や生き方、社会の在り方に大きな意識変革を投げかけたように思います。私たち研究者にとっては、現実的な問題の本質を見つめ直すこと、研究の方法をどのように進め実践に結び付けていくか、研究の成果をどのように共有し誠実に公表していくべきかを考えることなど、研究の在り方、継続的な観点からの社会貢献の在り方を、あらためて見直すきっかけとなりました。

 教育工学は、問題解決のための知見や方法、道具、仕組みを提供できる学問として立ち上がりました。会員は、あらゆる分野の研究者や実践家が参加しています。研究の英知を集めて解決できない問題はありません。しかし、未来の問題を予見した新しい技術の開発も大いに求められる一方、「3月11日以後」を深くかみしめた、継続的で貢献的な研究活動も、求められていると思います。全国大会に参加して、自分の研究を見直すとともに、これからの社会に私たちの研究活動がどう貢献できるか、また、私たちのできることは何なのか、リフレクションできる機会になればと思っています。
2日目に行われた会長講演「教育工学」のスライドをアップしています。(PDF:136KB)
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 最後になりましたが、この大会で様々な新しい企画の実現に努力された室田真男委員長を中心とする若い世代の大会企画委員会の方々、会場の準備や環境整備に奔走された首都大学東京の永井正洋委員長、北澤武副委員長をはじめとする大会実行委員会の方々、協賛や展示で協力いただいた企業の方々にも、心から感謝申し上げたいと思います。

 

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